IPv4とIPv6の違いとは?初心者向けに仕組み・確認方法・トラブル対応をわかりやすく解説
結論として、IPv4とIPv6はどちらもネットワーク上の機器を識別するためのIPアドレスですが、アドレスの長さ、表記方法、利用できる数、通信の仕組みが異なります。
IPv4は「192.168.1.10」のように数字とピリオドで表し、現在も多くの社内ネットワークで利用されています。一方、IPv6は「2001:db8::1」のように16進数とコロンで表し、IPv4アドレスの不足を解消するために普及が進んでいます。
Windows 11ではIPv4とIPv6の両方が標準で有効です。IT業務では、どちらで通信しているかを確認しながら障害原因を切り分ける必要があります。
IPv4とは
IPv4(Internet Protocol Version 4)の概要
IPv4は、現在も広く使われているインターネット通信の仕組みです。
アドレスは32ビットで構成され、0から255までの数字を4つ並べて表します。
例:192.168.1.10
IPv4で利用できるアドレス数は約43億個です。しかし、パソコン、スマートフォン、サーバー、IoT機器などが増えたことで、グローバルIPv4アドレスが不足しています。
IPv6とは
IPv6(Internet Protocol Version 6)の概要
IPv6は、IPv4アドレスの不足を解消するために作られた新しい通信方式です。
アドレスは128ビットで構成され、0から9とaからfまでの16進数をコロンで区切って表します。
例:2001:db8:1234:5678:abcd:ef01:2345:6789
IPv6では非常に多くのIPアドレスを利用できるため、膨大な数の機器へアドレスを割り当てられます。
IPv4とIPv6の違い
| 項目 | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| 正式名称 | Internet Protocol Version 4 | Internet Protocol Version 6 |
| アドレス長 | 32ビット | 128ビット |
| 表記例 | 192.168.1.10 | 2001:db8::10 |
| 利用できる数 | 約43億個 | 非常に多い |
| 区切り文字 | ピリオド | コロン |
| 主な利用状況 | 社内LANなどで広く利用 | インターネット回線を中心に普及中 |
| ブロードキャスト | 使用する | 使用しない |
IPv6の表記を短縮する方法
IPv6アドレスは長いため、一定のルールで省略できます。
例えば、次のIPv6アドレスがあるとします。
2001:0db8:0000:0000:0000:0000:0000:0001
各ブロックの先頭にある0を省略すると、次のようになります。
2001:db8:0:0:0:0:0:1
連続する0のブロックは「::」で一度だけ省略できます。
2001:db8::1
「::」は1つのIPv6アドレス内で一度しか使用できません。複数回使うと、省略された0の数を判断できなくなるためです。
なぜIPv6が必要なのか
IPv4で利用できるグローバルIPアドレスには限りがあります。
現在はNAT(Network Address Translation)を使い、複数の端末で1つのグローバルIPv4アドレスを共有することで不足を補っています。
しかし、インターネットへ接続する機器は増え続けています。そこで、圧倒的に多くのアドレスを利用できるIPv6への移行が進められています。
IPv4とIPv6はどちらが速いのか
IPv6だから必ず通信速度が速くなるわけではありません。
ただし、利用している回線サービスによっては、IPv6 IPoE方式を利用することで混雑しやすい設備を避けられ、IPv4 PPPoE接続よりも速度が安定する場合があります。
速度は、回線事業者、接続方式、ルーター性能、Wi-Fi環境、時間帯などにも左右されます。
IPv4とIPv6は直接通信できない
IPv4とIPv6は異なる通信方式であり、基本的にはそのままでは直接通信できません。
そのため、現在は1台の端末でIPv4とIPv6の両方を利用するデュアルスタックという構成が一般的です。
接続先がIPv6に対応していればIPv6を使い、対応していなければIPv4で通信します。
IPv6アドレスの主な種類
| 種類 | 用途 |
|---|---|
| グローバルユニキャストアドレス | インターネット通信で利用する |
| リンクローカルアドレス | 同じネットワーク内で自動的に利用する |
| ユニークローカルアドレス | 組織内部のネットワークで利用する |
| ループバックアドレス | 自分自身への通信確認に利用する |
Windowsでは、IPv6が有効なネットワークアダプターに「fe80::」から始まるリンクローカルアドレスが自動設定されることがあります。
プライベートIPv4とIPv6の違い
IPv4では、次の範囲がプライベートIPアドレスとして使われます。
- 10.0.0.0から10.255.255.255
- 172.16.0.0から172.31.255.255
- 192.168.0.0から192.168.255.255
IPv6では、IPv4のプライベートIPアドレスに近い用途として、主に「fc00::/7」のユニークローカルアドレスがあります。
ただし、IPv6ではグローバルユニキャストアドレスを端末へ直接割り当てる構成も一般的です。
IT現場で使われる場面
- 社内LANの端末管理
- インターネット接続
- クラウドサービスへの接続
- DNSによる名前解決
- VPN接続
- Webサーバーの公開
- ネットワーク障害の切り分け
初心者が混乱しやすいポイント
IPv6が表示されていても異常ではない
Windows 11ではIPv6が標準で有効です。
ipconfigを実行したときに長いIPv6アドレスや「fe80::」から始まるアドレスが表示されても、それだけで異常とは判断できません。
IPv6を無効にすれば直るとは限らない
通信トラブル時にIPv6を無効化すると、一時的に改善する場合があります。しかし、根本原因がDNS、ルーター、回線、アプリケーションにある可能性もあります。
Active DirectoryやWindowsの機能にも影響することがあるため、企業環境では管理者の許可なく無効化してはいけません。
IPv6にもDNSが必要
IPv6でも、Webサイトやサーバー名からIPアドレスを調べるためにDNSを利用します。
IPv4アドレスを登録するDNSレコードはAレコード、IPv6アドレスを登録するものはAAAAレコードです。
業務でよくあるトラブル
特定のWebサイトだけ開けない
考えられる原因
- IPv6経路の障害
- DNSのAAAAレコードに問題がある
- ルーターがIPv6へ正しく対応していない
- ファイアウォールでIPv6通信が遮断されている
IPv4では通信できるがIPv6では通信できない
考えられる原因
- IPv6アドレスを正しく取得できていない
- IPv6のデフォルトルートがない
- 回線契約がIPv6へ対応していない
- ルーターのIPv6設定に問題がある
社内サーバーへ名前で接続できない
考えられる原因
- DNSレコードの登録ミス
- AレコードとAAAAレコードの不整合
- DNSサーバー設定の誤り
- IPv6通信だけ失敗している
原因を切り分ける順番
- 自分だけか複数ユーザーで発生しているか確認する
- IPv4アドレスとIPv6アドレスの取得状況を確認する
- デフォルトゲートウェイとDNSサーバーを確認する
- IPv4で通信できるか確認する
- IPv6で通信できるか確認する
- 名前解決の結果を確認する
- ルーターやファイアウォールのログを確認する
GUIで確認する方法
- 「Windows」キーと「I」キーを押して設定を開く
- 「ネットワークとインターネット」を選択する
- 「Wi-Fi」または「イーサネット」を開く
- 接続中のネットワークのプロパティを表示する
- IPv4アドレスとIPv6アドレスを確認する
コマンドプロンプトで確認する方法
IPv4とIPv6の設定を確認する
ipconfig /all
IPv4アドレス、IPv6アドレス、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーなどを確認できます。
IPv4でpingを実行する
ping -4 www.google.com
IPv6でpingを実行する
ping -6 www.google.com
IPv4の通信経路を確認する
tracert -4 www.google.com
IPv6の通信経路を確認する
tracert -6 www.google.com
DNSの登録内容を確認する
nslookup www.google.com
結果にIPv4アドレスとIPv6アドレスのどちらが表示されるか確認します。
PowerShellで確認する方法
IPアドレスを確認する
Get-NetIPAddress
IPv4アドレスだけを確認する
Get-NetIPAddress -AddressFamily IPv4
IPv6アドレスだけを確認する
Get-NetIPAddress -AddressFamily IPv6
DNSのAレコードを確認する
Resolve-DnsName www.google.com -Type A
DNSのAAAAレコードを確認する
Resolve-DnsName www.google.com -Type AAAA
確認結果の見方
| 確認結果 | 考えられる状態 |
|---|---|
| IPv4とIPv6の両方で通信できる | デュアルスタックが正常 |
| IPv4だけ通信できる | IPv6経路や設定に問題がある可能性 |
| IPv6だけ通信できる | IPv4回線やNATに問題がある可能性 |
| IPでは通信できるが名前では失敗する | DNS障害の可能性 |
| 両方とも通信できない | LAN・ルーター・回線全体を確認 |
イベントビューアーで確認する方法
- 「Windows」キーと「R」キーを押す
- 「eventvwr.msc」と入力して実行する
- 「Windows ログ」の「システム」を開く
- 障害発生時刻付近の警告やエラーを確認する
- DNS Client、TCP/IP、DHCP Client、ネットワークアダプター関連の記録を確認する
Windows端末だけで問題が発生している場合は、ネットワークアダプターのドライバーやWindows Updateの影響も確認します。
筆者の失敗談
以前、特定のWebサイトだけ開けないという問い合わせで、IPv4のpingが成功したため回線は正常だと判断したことがあります。
しかし、確認を進めると、そのWebサイトにはAAAAレコードが登録されており、端末はIPv6で接続しようとしていました。ルーター側のIPv6通信に問題があったため、接続が失敗していたのです。
IPv4だけを確認して対応を終えず、IPv6の疎通とDNSレコードも確認していれば、より早く原因を特定できました。
初心者がやりがちなミス
- IPv6アドレスが長いため異常だと思う
- IPv4の確認だけで通信が正常だと判断する
- リンクローカルアドレスだけでインターネット通信できると思う
- DNSのAAAAレコードを確認しない
- 管理者へ相談せずIPv6を無効化する
上司へ報告するポイント
- 障害の発生日時
- 影響を受けている端末とユーザー
- IPv4とIPv6の取得状況
- IPv4とIPv6それぞれのping結果
- tracertの結果
- DNSのAレコードとAAAAレコードの確認結果
- 他端末でも同じ現象が発生するか
- 実施した対処内容
エスカレーションするタイミング
- 複数端末でIPv6通信だけ失敗する
- ルーターやファイアウォールの設定変更が必要
- DNSレコードの修正が必要
- 回線事業者側のIPv6障害が疑われる
- Active Directory環境でIPv6設定を変更する必要がある
注意点
障害対応を目的にIPv6を安易に無効化しないでください。
一時的に症状が改善しても、根本的な原因が残る可能性があります。また、企業のシステムやWindowsの機能がIPv6を利用している場合、別の障害を引き起こすおそれがあります。
設定変更は影響範囲を確認し、上司やネットワーク管理者の承認を得てから実施しましょう。
関連するIT用語
- IPアドレス
- IPv4
- IPv6
- NAT(Network Address Translation)
- DNS(Domain Name System)
- Aレコード
- AAAAレコード
- デュアルスタック
- IPoE
- PPPoE
- リンクローカルアドレス
- デフォルトゲートウェイ
よくある質問(FAQ)
IPv4とIPv6はどちらを使えばよいですか?
通常はWindowsやルーターが自動的に選択するため、利用者が手動で選ぶ必要はありません。現在はIPv4とIPv6を併用するデュアルスタックが一般的です。
IPv6があればIPv4は不要ですか?
まだIPv4だけに対応しているシステムやサービスもあるため、すぐにIPv4が不要になるわけではありません。
IPv6アドレスが複数表示されるのは異常ですか?
異常とは限りません。グローバルユニキャストアドレス、リンクローカルアドレス、一時IPv6アドレスなどが同時に設定されることがあります。
IPv6ではNATを使わないのですか?
IPv6では多数のグローバルアドレスを利用できるため、IPv4のようなアドレス不足対策としてのNATは基本的に不要です。ただし、通信の安全性はファイアウォールで確保する必要があります。
IPv6の「fe80::」は何ですか?
リンクローカルアドレスです。同じネットワーク内の通信などに利用され、ルーターを越えたインターネット通信には通常使われません。
まとめ
IPv4とIPv6は、どちらもネットワーク上の機器を識別して通信するための仕組みです。
IPv4は32ビットで「192.168.1.10」のように表し、IPv6は128ビットで「2001:db8::1」のように表します。IPv6はIPv4アドレスの不足を解消できる非常に多くのアドレスを持っています。
障害対応では、IPv4とIPv6を別々に確認することが重要です。IPv4の通信が成功していても、IPv6経路やDNSのAAAAレコードに問題がある可能性があります。
IT業務初心者は、「IPv4は32ビット」「IPv6は128ビット」「現在は両方を使うデュアルスタックが一般的」「IPv6を安易に無効化しない」という4点を覚えておきましょう。
