KubernetesとDockerの違いとは?初心者向けに役割・特徴・使い分けをわかりやすく解説
結論として、Dockerは「コンテナを作成・実行するための技術」、Kubernetes(クバネティス)は「複数のコンテナを自動で管理・運用するための仕組み」です。
よく比較される2つですが、実際には競合する技術ではありません。Dockerで作成したコンテナを、Kubernetesで効率よく運用するという組み合わせで利用されることが一般的です。
KubernetesとDockerとは?
Dockerとは
Docker(ドッカー)は、アプリケーションと、その動作に必要なライブラリや設定ファイルを「コンテナ」と呼ばれる単位にまとめて実行するためのプラットフォームです。
コンテナはホストOSのカーネルを共有するため、軽量で高速に起動できることが特徴です。
開発環境と本番環境を同じ構成にしやすく、多くの企業で利用されています。
Kubernetes(K8s)とは
Kubernetes(クバネティス)は、Googleが開発し、現在はCloud Native Computing Foundation(CNCF)が管理しているコンテナオーケストレーションツールです。
複数のコンテナを自動で配置・監視・再起動・スケールさせる機能を備えており、大規模なシステム運用で広く採用されています。
「Kubernetes」は長いため、文字数を省略してK8s(ケーエイツ)と表記されることもあります。
DockerとKubernetesの違い
| 比較項目 | Docker | Kubernetes |
|---|---|---|
| 役割 | コンテナを作成・実行する | コンテナを管理・運用する |
| 主な用途 | アプリケーション実行 | 複数コンテナの管理 |
| スケール | 手動が基本 | 自動で増減可能 |
| 障害対応 | 手動で再起動 | 自動で再起動 |
| 負荷分散 | 基本機能なし | 標準で対応 |
| 適した規模 | 小規模~中規模 | 中規模~大規模 |
初心者向けに例えると
| 技術 | 例え |
|---|---|
| Docker | 1台のトラックで荷物を運ぶ。 |
| Kubernetes | 複数のトラックを管理し、自動で配送計画を立てる物流センター。 |
Dockerはコンテナを動かすことが役割です。一方、Kubernetesは多くのコンテナを効率よく運用するための司令塔と考えると理解しやすくなります。
なぜKubernetesが必要なのか
Dockerだけでもコンテナは利用できますが、コンテナ数が増えると管理が難しくなります。
例えば100個のコンテナが動作する環境では、どのコンテナが停止したか、どこへ配置するか、アクセスをどのように振り分けるかを人が管理するのは大変です。
Kubernetesはこれらの作業を自動化し、安定したシステム運用を実現します。
Kubernetesの主な機能
- コンテナの自動配置
- コンテナの自動再起動
- 負荷分散(ロードバランシング)
- 自動スケーリング
- ローリングアップデート
- 自己修復(Self Healing)
どんな場面で使われるのか
Dockerが向いているケース
- 開発環境の構築
- テスト環境
- 個人開発
- 小規模Webアプリケーション
- 学習用途
Kubernetesが向いているケース
- 大規模Webサービス
- クラウドネイティブアプリケーション
- 24時間365日稼働するシステム
- アクセス数が大きく変動するサービス
- マイクロサービス構成
なぜ重要なのか
現在、多くのクラウドサービスではKubernetesが採用されています。
Amazon EKS、Azure Kubernetes Service(AKS)、Google Kubernetes Engine(GKE)など、主要クラウドサービスでもKubernetesを利用できます。
インフラエンジニアやクラウドエンジニアを目指す場合は、DockerとKubernetesの両方を理解しておくことが重要です。
IT現場での利用例
例1:社内開発環境
開発者がDockerでコンテナを作成し、動作確認を行います。
例2:本番環境
本番環境ではKubernetesが複数のコンテナを管理し、障害時には自動で新しいコンテナを起動します。
筆者が現場で経験したこと
以前担当したWebシステムでは、Dockerだけで運用していました。
アクセス数が増えると手動でコンテナを増やす必要があり、夜間対応が発生することもありました。
その後Kubernetesへ移行したことで、アクセス増加時には自動でコンテナが追加され、障害が発生したコンテナも自動で再起動されるようになりました。
運用負荷が大きく軽減されたことを実感しました。
業務でよくあるトラブル
- コンテナが起動しない
- PodがCrashLoopBackOffになる
- イメージの取得に失敗する
- Service設定ミス
- リソース不足
- Node障害
障害発生時の確認する順番
- 影響範囲を確認する
- Podの状態を確認する
- Deploymentの状態を確認する
- Nodeの状態を確認する
- コンテナログを確認する
- イベントログを確認する
- ネットワーク設定を確認する
原因の切り分け
| 確認項目 | Docker | Kubernetes |
|---|---|---|
| コンテナ停止 | docker logs | kubectl logs |
| 状態確認 | docker ps | kubectl get pods |
| 再起動 | 手動 | 自動またはkubectl |
| 負荷分散 | 外部ツール | Serviceで管理 |
GUIで確認できる内容
- Docker Desktop
- Kubernetes Dashboard
- Lens
- Azure Portal
- AWS Management Console
CUIで確認できる内容
Docker
- docker ps
- docker images
- docker logs
- docker exec
- docker inspect
Kubernetes
- kubectl get pods
- kubectl get nodes
- kubectl describe pod
- kubectl logs
- kubectl get services
ログの確認方法
Dockerではコンテナログを確認します。
KubernetesではPodログに加え、イベント情報やDeploymentの状態、Nodeの状態なども確認することが重要です。
初心者がやりがちなミス
- DockerとKubernetesを同じものだと思う
- Kubernetesだけでコンテナを作れると思う
- Podとコンテナを混同する
- ログを確認せず再起動する
- リソース不足を見落とす
上司へ報告するポイント
- 影響範囲
- 停止しているPod数
- Nodeの状態
- エラーメッセージ
- 確認済み項目
- 実施した対応
- 現在の状況
エスカレーションするタイミング
- 複数Nodeで障害が発生している
- クラスタ全体に影響がある
- 永続化データに問題がある
- ネットワーク障害が疑われる
- 管理者権限が必要な作業がある
応用知識
Kubernetesは単体ではなく、さまざまな関連技術と組み合わせて利用されます。
| 関連技術 | 概要 |
|---|---|
| Docker | コンテナを作成・実行する |
| containerd | コンテナランタイム |
| Helm | Kubernetesのパッケージ管理ツール |
| Ingress | HTTP/HTTPS通信を制御する |
| Prometheus | 監視ツール |
| Grafana | 監視データを可視化する |
関連するIT用語
- コンテナ(Container)
- Docker
- Pod
- Node
- Deployment
- Service
- Ingress
- Helm
- コンテナオーケストレーション
- マイクロサービス
よくある質問(FAQ)
Q. KubernetesがあればDockerは不要ですか?
いいえ。Kubernetesはコンテナを管理する仕組みであり、コンテナ自体を作成する役割ではありません。Dockerなどのコンテナ技術と組み合わせて利用されることが一般的です。
Q. Dockerだけでも運用できますか?
はい。開発環境や小規模なシステムであればDockerだけでも十分に運用できます。
Q. Kubernetesは初心者には難しいですか?
Dockerより覚えることは多いですが、コンテナの基礎を理解してから学習すると理解しやすくなります。
Q. 社内SEでもKubernetesを覚える必要がありますか?
社内インフラのみを担当する場合は必須ではありませんが、クラウドサービスやWebシステムを扱う機会がある場合は、基本的な仕組みを理解しておくと業務の幅が広がります。
まとめ
DockerとKubernetesは比較されることが多いですが、役割が異なるため、実際には組み合わせて利用する技術です。
- Dockerはコンテナを作成・実行する技術
- Kubernetesはコンテナを自動管理する技術
- Dockerは開発環境や小規模システムに適している
- Kubernetesは大規模システムや本番環境で活躍する
- IT現場では「Dockerで作り、Kubernetesで運用する」という構成が一般的
初心者はまずDockerでコンテナの基本を理解し、その後Kubernetesでコンテナを効率よく管理する仕組みを学ぶと、クラウドやモダンなシステム運用への理解が深まります。
