ネットワーク設計とは?構築との違いを初心者向けにわかりやすく解説
ネットワーク設計とは、ネットワークをどのような構成で構築するかを事前に計画する作業です。一方、ネットワーク構築とは、その設計書をもとに実際に機器を設置・設定する作業を指します。
IT業界では「設計」と「構築」はセットで使われることが多いですが、役割や仕事内容は異なります。この記事では、IT業務初心者向けにネットワーク設計の概要や構築との違い、実際の業務内容を解説します。
ネットワーク設計とは?
ネットワーク設計とは、ルーターやスイッチ、サーバー、パソコンなどをどのように接続し、安全で安定したネットワークを実現するかを計画する工程です。
建物を建てる前に設計図を作るのと同じように、ネットワークも最初に設計を行います。
| 設計する内容 | 概要 |
|---|---|
| ネットワーク構成 | 機器同士の接続方法を決める |
| IPアドレス設計 | 各機器へ割り当てるIPアドレスを決める |
| VLAN設計 | 部署ごとなどにネットワークを分割する |
| ルーティング設計 | 通信経路を決める |
| セキュリティ設計 | アクセス制御やファイアウォールを設計する |
ネットワーク構築との違い
| 項目 | ネットワーク設計 | ネットワーク構築 |
|---|---|---|
| 目的 | ネットワークを計画する | 設計どおりに作る |
| 作業内容 | 設計書作成、構成検討 | 機器設置、設定、動作確認 |
| 成果物 | 設計書、構成図 | 完成したネットワーク |
| 主な担当者 | 設計担当・インフラエンジニア | 構築担当・インフラエンジニア |
簡単に言えば、設計は「どう作るかを決める仕事」、構築は「実際に作る仕事」です。
ネットワーク設計の流れ
① 要件を確認する
まずは利用者やシステムの要件を確認します。
- 利用人数
- 設置場所
- サーバー台数
- 無線LANの利用有無
- インターネット回線
- セキュリティ要件
② ネットワーク構成を考える
どの機器をどのように接続するかを決定します。
- ルーター
- L2スイッチ
- L3スイッチ
- アクセスポイント
- ファイアウォール
- サーバー
ネットワーク構成図を作成し、全体像を可視化します。
③ IPアドレスを設計する
IPアドレスの重複を防ぐため、あらかじめ割り当てを決めます。
| 機器 | IPアドレス例 |
|---|---|
| ルーター | 192.168.1.1 |
| DNSサーバー | 192.168.1.10 |
| プリンター | 192.168.1.50 |
| PC | DHCPで自動取得 |
④ VLANを設計する
部署ごとや用途ごとにネットワークを分けることで、セキュリティや通信効率を向上させます。
例えば、総務部・営業部・来客用Wi-Fiを別々のVLANに分割すると、不要な通信を防ぎやすくなります。
⑤ セキュリティを設計する
社内ネットワークを安全に利用するために、アクセス制御や通信制限を設計します。
- ファイアウォール設定
- アクセス制御リスト(ACL)
- VPN接続
- 無線LANの認証方式
設計書に記載される主な内容
- ネットワーク構成図
- IPアドレス一覧
- VLAN一覧
- 機器一覧
- 配線図
- ルーティング情報
- 設定値一覧
- 冗長構成
構築担当者は、この設計書をもとに機器の設定を行います。
ネットワーク設計で重要なポイント
将来の拡張性を考える
PCやサーバーが増えても対応できるよう、IPアドレスやスイッチの空きポートに余裕を持たせます。
障害発生時を考慮する
ルーターや回線が故障しても通信を継続できるよう、冗長構成を検討することがあります。
管理しやすい構成にする
配線やIPアドレスに規則性を持たせると、障害対応や機器追加が容易になります。
現場でよくあるトラブル
- IPアドレス設計不足でアドレスが足りなくなる
- VLAN設計ミスにより部署間通信ができない
- ネットワーク機器の設置場所を考慮していなかった
- 配線ルートを設計しておらず工事が遅れる
- 将来の増設を考慮しておらず機器を追加できない
筆者の経験談
小規模だからと設計書を簡略化した結果、半年後にPCが増設され、どのIPアドレスが使用中か分からなくなったことがありました。急いで調査することになり、多くの時間を費やしました。
この経験から、規模に関係なく構成図やIPアドレス一覧を残しておくことの重要性を実感しました。設計書は構築だけでなく、運用や障害対応でも大きな助けになります。
初心者が混乱しやすいポイント
- 設計と構築を同じ意味だと思ってしまう
- IPアドレスは構築時に考えればよいと思ってしまう
- 構成図は不要だと考えてしまう
- 現在だけでなく将来の拡張も考慮する必要があることを忘れやすい
上司へ報告するポイント
- 利用人数と必要な機器
- IPアドレス設計
- VLAN構成
- 影響範囲
- 将来の拡張性
- 懸念事項やリスク
エスカレーションするタイミング
- 要件が確定していない場合
- IPアドレス設計に不安がある場合
- ルーティングやVLAN設計が複雑な場合
- セキュリティポリシーに関わる変更が必要な場合
- 既存システムへの影響が大きい場合
関連するIT用語
- ネットワーク構築
- IPアドレス
- サブネットマスク
- VLAN
- ルーティング
- DNS
- DHCP
- ファイアウォール
- VPN
- LAN
よくある質問(FAQ)
ネットワーク設計と構築は同じ人が担当しますか?
小規模な案件では同じエンジニアが担当することもありますが、大規模案件では設計担当と構築担当が分かれることが一般的です。
初心者は設計から担当できますか?
多くの場合は構築や運用から経験を積み、ネットワークの仕組みを理解した後に設計業務を担当します。
設計書はなぜ必要ですか?
構築作業の基準となるだけでなく、運用・保守や障害対応、将来の機器追加・更改時にも活用されるためです。
まとめ
ネットワーク設計は、ネットワークを安全かつ効率的に運用するための「設計図」を作る重要な工程です。
設計は「どう作るかを決める仕事」、構築は「実際に作る仕事」という違いを理解しておくと、インフラ業務の全体像がつかみやすくなります。
IT業務初心者は、まずネットワーク構成図の見方やIPアドレス設計の基本を学び、設計書を読み解けるようになることを目標にすると、構築や運用業務でもスムーズに活躍できるようになります。
