RESTとREST APIの違いとは?初心者でもわかる仕組み・特徴・IT現場での使われ方を解説
結論として、RESTはWebシステムを設計するための考え方(設計思想)であり、REST APIはRESTの考え方に沿って作られたAPIです。
IT業務では「RESTで設計する」「REST APIを利用する」という言葉をよく耳にします。初心者は同じ意味だと思いがちですが、RESTはルールや設計方針を指し、REST APIはそのルールに従って作られた実際のAPIを指します。
RESTとは
RESTとはRepresentational State Transferの略で、Webシステムをシンプルで分かりやすく設計するための考え方です。
REST自体はソフトウェアやサービスの名前ではありません。
「どのようにAPIを設計すると使いやすく、拡張しやすくなるか」を示した設計思想です。
例えば、商品情報を取得する場合は「商品を取得する」という操作ではなく、「商品」というリソース(資源)に対して決められた方法でアクセスするという考え方になります。
REST APIとは
REST APIとは、RESTの設計ルールに従って作られたAPIです。
利用者や他のシステムはREST APIへアクセスして、データの取得・登録・更新・削除を行います。
現在のWebサービスやクラウドサービスの多くはREST APIを採用しています。
RESTとREST APIの違い
| 比較項目 | REST | REST API |
|---|---|---|
| 役割 | 設計思想 | 実際のAPI |
| 実体 | 考え方・ルール | システムとして動作するAPI |
| 利用する人 | 設計者・開発者 | システム・アプリ・開発者 |
| 目的 | 分かりやすい設計 | システム連携 |
| 例 | 設計ルール | 商品API、ユーザーAPIなど |
イメージすると理解しやすい例
RESTは交通ルール、REST APIはそのルールに従って走る自動車と考えると分かりやすくなります。
交通ルールだけでは人や荷物を運べません。しかし、自動車がルールを守ることで安全に移動できます。
同じように、RESTという設計思想だけではシステム連携はできません。RESTのルールに沿って作られたREST APIが実際にデータのやり取りを行います。
REST APIでは何ができるのか
REST APIでは主に次のような操作を行います。
| 操作 | 内容 |
|---|---|
| 取得(GET) | データを取得する |
| 登録(POST) | 新しいデータを登録する |
| 更新(PUT・PATCH) | データを更新する |
| 削除(DELETE) | データを削除する |
例えば、社員情報を取得したい場合はGET、社員を新規登録する場合はPOSTというように、HTTPメソッドを使い分けます。
REST APIがよく使われる場面
- スマートフォンアプリとサーバーの通信
- ECサイトの商品情報取得
- クラウドサービスとの連携
- 社内システム同士のデータ連携
- Microsoft 365やGoogle Workspaceとの連携
現在の業務システムではREST APIが標準的な仕組みとして利用されています。
初心者が混乱しやすいポイント
- RESTとREST APIは同じ意味ではない
- RESTはソフトウェアではなく設計思想
- REST APIはRESTに従って作られたAPI
- すべてのAPIがREST APIとは限らない
例えば、SOAP APIやGraphQL APIなど、REST以外の方式で作られたAPIも存在します。
IT現場での利用例
- 社員管理システムがREST APIで社員情報を取得する
- 勤怠システムがREST APIで打刻データを送信する
- 販売管理システムがREST APIで商品情報を更新する
- チャットツールがREST APIで通知を送信する
開発だけでなく、社内SEや運用保守でもREST APIに触れる機会は増えています。
業務でよくあるトラブル例
ケース1:REST APIへ接続できない
原因例
- URLの誤り
- 認証エラー
- ネットワーク障害
- APIサーバー停止
ケース2:データを取得できない
原因例
- 存在しないデータを指定している
- アクセス権限不足
- API仕様変更
ケース3:更新処理だけ失敗する
原因例
- POSTやPUTのデータ形式が誤っている
- 入力チェックでエラーになっている
- 書き込み権限がない
確認する順番
- URLが正しいか確認する
- 認証情報を確認する
- HTTPステータスコードを確認する
- APIログを確認する
- サーバーが稼働しているか確認する
- ネットワーク通信を確認する
HTTPステータスコードの見方
| コード | 意味 |
|---|---|
| 200 | 正常終了 |
| 201 | 登録成功 |
| 400 | リクエスト内容に誤り |
| 401 | 認証エラー |
| 403 | 権限不足 |
| 404 | データやURLが存在しない |
| 500 | サーバー内部エラー |
HTTPステータスコードを確認することで、問題が利用者側かサーバー側かを切り分けやすくなります。
影響範囲の考え方
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| すべてのAPIが失敗する | APIサーバー停止、ネットワーク障害 |
| 一部のAPIだけ失敗する | プログラム不具合、仕様変更 |
| 特定ユーザーだけ失敗する | 認証・権限設定 |
| 更新だけ失敗する | 入力データ、権限不足 |
ログの確認方法
- Webサーバーログ
- APIログ
- アプリケーションログ
- 認証ログ
- クラウド監査ログ
エラー内容と発生時刻を確認すると、原因の特定がしやすくなります。
イベントビューアーで確認する場合
REST APIを提供するサーバーがWindows Serverの場合は、イベントビューアーでアプリケーションやシステムのエラーを確認できます。
- Windowsキーを押す
- 「イベントビューアー」を開く
- 「Windowsログ」を選択する
- 「アプリケーション」または「システム」を確認する
- エラーや警告が記録されていないか確認する
コマンドプロンプトで確認できること
- ping(通信確認)
- tracert(通信経路確認)
- nslookup(名前解決確認)
- ipconfig(ネットワーク設定確認)
PowerShellで確認できること
- Test-NetConnection(接続確認)
- Invoke-WebRequest(REST APIの応答確認)
- Get-Service(サービス稼働確認)
初心者がやりがちなミス
- RESTとREST APIを同じ意味で使う
- RESTはAPIの製品名だと思う
- HTTPステータスコードを確認しない
- 認証エラーをネットワーク障害と勘違いする
- API仕様書を確認せずに調査を始める
筆者の現場経験
社内SEとしてシステム連携を担当した際、「RESTが動かない」という問い合わせを受けることがありました。しかし実際には、RESTという考え方が止まることはありません。問題が発生していたのはREST APIで、認証トークンの期限切れが原因でした。
現場では「REST APIがエラーになっている」と正しく表現することで、関係者との認識合わせがしやすくなります。
上司へ報告するポイント
- どのREST APIでエラーが発生しているか
- HTTPステータスコード
- 発生時刻
- 影響を受けるユーザーやシステム
- 確認したログ
- 実施した切り分け内容
エスカレーションするタイミング
- APIサーバーが停止している
- 複数システムへ影響が出ている
- 500エラーが継続して発生する
- 原因を特定できない
- 業務停止につながる障害である
関連するIT用語
- API(Application Programming Interface)
- HTTP
- HTTPS
- JSON(JavaScript Object Notation)
- XML(Extensible Markup Language)
- SOAP API
- GraphQL
- HTTPステータスコード
- エンドポイント
- リソース
よくある質問(FAQ)
RESTだけではシステム連携できますか?
できません。RESTは設計思想であり、実際にデータをやり取りするにはREST APIが必要です。
REST APIはすべてJSONを使いますか?
JSONが最も一般的ですが、XMLなどほかの形式を利用するREST APIもあります。
REST APIと通常のAPIの違いは何ですか?
REST APIはRESTの設計思想に従って作られたAPIです。一方、APIという言葉はREST APIだけでなく、SOAP APIやGraphQL APIなども含む広い意味で使われます。
まとめ
RESTはWebシステムを設計するための考え方であり、REST APIはその考え方に基づいて実装されたAPIです。
つまり、RESTは「ルール」、REST APIは「そのルールに従って動く仕組み」と考えると理解しやすくなります。
IT業務ではREST APIに触れる機会が非常に多いため、RESTとREST APIの違いを理解しておくことで、システム連携の仕組みや障害対応、開発チームとのコミュニケーションがスムーズになります。
