【初心者向け】BigQueryとは?大量データを高速分析できるGoogle Cloudのサービスをやさしく解説
Google Cloudを使ったシステム開発やデータ分析の業務では、BigQuery(ビッグクエリ)というサービスを目にすることがあります。
「BigQueryはデータベースなの?」
「Cloud SQLとは何が違うの?」
「どのような業務で使われているの?」
このような疑問を持つIT業務初心者の方は少なくありません。
BigQueryは、大量のデータを保存し、SQLを使って高速に分析できるGoogle Cloudのデータ分析サービスです。
一般的な業務システムのデータベースとして使うというよりも、売上履歴やアクセスログなどの大量データを集めて、集計・分析する用途に向いています。
この記事では、BigQueryの基本的な仕組み、データセットやテーブルの意味、実際の業務での使われ方、Cloud SQLやCloud Storageとの違いを、IT業務に従事する初心者向けに分かりやすく解説します。
- BigQueryとは?
- BigQueryを一言で表すと?
- データウェアハウスとは?
- BigQueryを身近な例で考えてみよう
- クエリとは?
- SQLとは?
- BigQueryの基本的なデータ構造
- プロジェクトとは?
- データセットとは?
- テーブルとは?
- スキーマとは?
- BigQueryの主な特徴
- BigQueryでできること
- 実際の業務ではどのように使われる?
- BIツールとは?
- BigQueryへデータを登録する方法
- バッチ処理とストリーミング処理の違い
- BigQueryとCloud Storageを連携する例
- 外部テーブルとは?
- BigQueryとCloud SQLの違い
- BigQueryとCloud Firestoreの違い
- BigQueryとCloud Storageの違い
- BigQueryと一般的なExcelの違い
- パーティションとは?
- クラスタリングとは?
- ビューとは?
- マテリアライズドビューとは?
- BigQuery MLとは?
- BigQueryの料金はどのように決まる?
- スロットとは?
- BigQueryで料金が高くなりやすい例
- BigQueryのコストを抑える基本
- BigQueryのアクセス権限
- サービスアカウントとは?
- BigQueryを利用するときの注意点
- ETLとELTとは?
- BigQueryを使ったシステム構成例
- BigQueryの操作方法
- 初心者が最初に練習したいSQL
- よくある質問
- IT業務初心者が覚えておきたいポイント
- 関連して覚えておきたいGoogle Cloudサービス
- まとめ
BigQueryとは?
BigQueryは、Google Cloudが提供するフルマネージド型のデータ分析プラットフォームです。
大量のデータを保存し、SQLなどを使って分析できます。
フルマネージド型とは、サーバーやストレージなどの基盤をGoogle Cloud側が管理してくれるサービスのことです。
利用者が分析用のサーバーを自分で準備しなくても、BigQueryへデータを登録してSQLを実行できます。
例えば、次のようなデータの分析に利用されます。
- 会社全体の売上データ
- Webサイトのアクセスログ
- アプリの利用履歴
- 広告のクリック履歴
- 商品の購入履歴
- IoT機器から送られるデータ
- システムが出力した大量のログ
BigQueryを一言で表すと?
BigQueryを一言で表すと、大量のデータを集めて調査するための巨大な分析室です。
一般的なデータベースは、アプリケーションが日々のデータを登録・更新するために使われます。
一方、BigQueryは、蓄積された大量のデータを使って、次のような質問への答えを調べることが得意です。
- 先月もっとも売れた商品は何か
- 地域ごとの売上はいくらか
- 曜日によってアクセス数に違いがあるか
- どの広告から購入した利用者が多いか
- 最近エラーが増えているシステムはどれか
データウェアハウスとは?
BigQueryは、一般的にデータウェアハウスとして利用されます。
データウェアハウスとは、複数のシステムから集めたデータを保存し、分析しやすい状態にする仕組みです。
データウェアハウスは、英語ではData Warehouseと表記され、略してDWHと呼ばれることもあります。
例えば、ある会社が次のシステムを利用しているとします。
- 店舗の販売管理システム
- ECサイト
- 会員管理システム
- 広告管理サービス
- 問い合わせ管理システム
それぞれのシステムに分散しているデータをBigQueryへ集めることで、会社全体の状況をまとめて分析できます。
販売管理システム ─┐ ECサイト ─┤ 会員管理システム ─┼─→ BigQuery ─→ 集計・分析・レポート 広告管理サービス ─┤ 問い合わせ管理 ─┘
BigQueryを身近な例で考えてみよう
BigQueryは、大きな倉庫と高性能な調査チームを組み合わせたようなサービスです。
倉庫の中には、会社の売上伝票やアクセス記録などが大量に保管されています。
担当者が、
「去年もっとも売れた商品を教えてください」
と依頼すると、調査チームが大量の資料を確認し、結果を返してくれます。
BigQueryでは、この依頼に相当するものがSQLによるクエリです。
クエリとは?
クエリとは、データベースなどに対して行う問い合わせや命令のことです。
BigQueryでは、主にSQLを使ってクエリを実行します。
例えば、売上テーブルのデータをすべて確認する場合は、次のようなSQLを実行します。
SELECT *
FROM sales;
商品ごとの売上金額を集計する場合は、次のようなSQLを使用します。
SELECT
product_name,
SUM(amount) AS total_amount
FROM sales
GROUP BY product_name
ORDER BY total_amount DESC;
このSQLでは、商品名ごとに売上金額を合計し、金額が大きい順に並べています。
SQLとは?
SQLとは、データベースへ命令を出すための言語です。
SQLを使うと、次のような操作ができます。
- 必要なデータを取得する
- 条件に一致するデータを絞り込む
- 売上などの数値を合計する
- データの平均値を計算する
- 商品や地域ごとに集計する
- 複数のテーブルを組み合わせる
BigQueryでは、主にGoogleSQLと呼ばれるSQLを使用します。
BigQueryの基本的なデータ構造
BigQueryでは、主に次の階層でデータを管理します。
- プロジェクト
- データセット
- テーブル
Google Cloudプロジェクト └─ データセット ├─ customersテーブル ├─ productsテーブル └─ salesテーブル
プロジェクトとは?
プロジェクトとは、Google Cloudのサービスや設定、請求情報などをまとめて管理する単位です。
BigQueryのデータセットやテーブルも、いずれかのGoogle Cloudプロジェクトに所属します。
例えば、次のようにプロジェクトを分ける場合があります。
- 開発環境用プロジェクト
- 検証環境用プロジェクト
- 本番環境用プロジェクト
- データ分析専用プロジェクト
データセットとは?
データセットとは、BigQueryのテーブルやビューなどをまとめて管理する入れ物です。
一般的なデータベースにおけるデータベースやスキーマに近い役割を持っています。
例えば、次のようなデータセットを作成できます。
- 販売データ用データセット
- 顧客データ用データセット
- アクセスログ用データセット
- システム監視用データセット
テーブルとは?
テーブルとは、実際のデータを保存する表です。
Excelの表と同じように、行と列でデータを管理します。
| order_id | product_name | amount | order_date |
|---|---|---|---|
| 1001 | ノートパソコン | 120000 | 2026-07-01 |
| 1002 | マウス | 3000 | 2026-07-01 |
| 1003 | キーボード | 8000 | 2026-07-02 |
表の横方向に並ぶ項目を列、1件分のデータを表す縦方向のまとまりを行と呼びます。
スキーマとは?
スキーマとは、テーブルにどのような列を用意し、それぞれにどのような種類のデータを保存するかを定めた設計情報です。
例えば、売上テーブルでは次のようなスキーマを設定します。
| 列名 | データ型 | 内容 |
|---|---|---|
| order_id | INTEGER | 注文番号 |
| product_name | STRING | 商品名 |
| amount | NUMERIC | 売上金額 |
| order_date | DATE | 注文日 |
列の名前やデータ型を適切に設定することで、データを扱いやすくなります。
BigQueryの主な特徴
サーバー管理が不要
BigQueryでは、分析用サーバーを利用者が構築・管理する必要がありません。
OSの更新やサーバー台数の調整などをGoogle Cloud側が行うため、利用者はデータの登録や分析に集中できます。
大量データを分析できる
BigQueryは、非常に大量のデータを扱うことを想定して設計されています。
一般的なパソコンでは処理が難しい規模のデータでも、クラウド上の計算資源を使って分析できます。
SQLで分析できる
特別な分析用言語だけでなく、データベース業務で広く使われているSQLを利用できます。
SQLの経験があるエンジニアやデータ分析担当者にとって、比較的取り組みやすいサービスです。
処理能力を自動で確保する
クエリを実行すると、BigQueryが必要な計算資源を割り当てて処理します。
利用者が分析用サーバーの台数やCPU、メモリを細かく準備する必要はありません。
Google Cloudの他サービスと連携できる
Cloud Storage、Cloud Run、Pub/Sub、Looker、Vertex AIなど、Google Cloudの各種サービスと組み合わせて利用できます。
BigQueryでできること
BigQueryでは、主に次のことができます。
- 大量データの保存
- SQLによるデータ検索
- 売上やアクセス数の集計
- 複数テーブルの結合
- 時系列データの分析
- ダッシュボード用データの作成
- ログデータの調査
- 機械学習モデルの作成
- 地理情報の分析
- 外部データの参照
実際の業務ではどのように使われる?
売上データの分析
店舗やECサイトの売上データをBigQueryへ集め、次のような分析を行います。
- 日別・月別の売上
- 商品ごとの売上
- 店舗ごとの売上
- 地域ごとの売上
- 利用者の年代別の購入傾向
Webサイトのアクセス分析
Webサイトやアプリのアクセス履歴を保存し、次のような情報を分析します。
- ページごとの閲覧数
- 利用者が離脱しやすいページ
- 時間帯ごとのアクセス数
- 広告ごとの成果
- 利用端末の種類
システムログの分析
複数のシステムからログを集め、エラーや異常の調査に利用する場合があります。
例えば、特定のエラーメッセージが1日に何回発生したかを集計できます。
経営用レポートの作成
BigQueryで集計したデータをLookerなどのBIツールへ渡し、グラフやダッシュボードとして表示できます。
BIツールとは?
BIは、Business Intelligenceの略です。
BIツールとは、企業が保有するデータをグラフや表で見やすく表示し、意思決定に役立てるためのツールです。
BigQueryとBIツールを組み合わせると、次のようなダッシュボードを作成できます。
- 今月の売上
- 目標に対する達成率
- 商品別の販売数
- 地域別の利用者数
- システムのエラー件数
BigQueryへデータを登録する方法
BigQueryへデータを登録する方法は複数あります。
- CSVファイルをアップロードする
- JSONファイルを読み込む
- Cloud Storageから読み込む
- 他のデータベースから転送する
- アプリケーションからAPIで送信する
- 定期的なデータ転送を設定する
- ストリーミングでデータを取り込む
扱うデータの量や更新頻度に応じて、適切な方法を選択します。
バッチ処理とストリーミング処理の違い
| 項目 | バッチ処理 | ストリーミング処理 |
|---|---|---|
| 取り込み方法 | データをまとめて登録する | 発生したデータを順次登録する |
| 例 | 毎日深夜に前日分を登録 | アクセスログを随時登録 |
| 向いている用途 | 定期集計 | リアルタイムに近い分析 |
必ずしもすべてのデータを即時に登録する必要はありません。
業務上必要な更新頻度と料金、システム構成を考えて選択します。
BigQueryとCloud Storageを連携する例
Cloud Storageへ保存したCSVやJSONなどのファイルを、BigQueryへ読み込んで分析できます。
業務システム ↓ Cloud Storage ↓ BigQuery ↓ SQLによる分析
それぞれの役割は次のとおりです。
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Cloud Storage | CSV、画像、バックアップなどのファイルを保存する |
| BigQuery | 大量のデータを集計・分析する |
外部テーブルとは?
BigQueryでは、データをすべてBigQueryのストレージへ移動せず、外部に保存されたデータを参照して分析する方法もあります。
このような仕組みで利用するテーブルを外部テーブルと呼びます。
例えば、Cloud Storageに保存されているファイルをBigQueryから参照できます。
ただし、処理速度や利用できる機能が、BigQuery内へ保存した通常のテーブルと異なる場合があります。
BigQueryとCloud SQLの違い
BigQueryとCloud SQLはどちらもデータを扱うサービスですが、主な用途が異なります。
| 項目 | BigQuery | Cloud SQL |
|---|---|---|
| 主な用途 | 大量データの分析 | 業務システムのデータ管理 |
| 処理の特徴 | 大規模な集計や検索が得意 | 少量のデータを頻繁に登録・更新する処理が得意 |
| 代表的な利用例 | 売上分析、ログ分析 | 注文登録、会員管理 |
| サーバー管理 | 原則として不要 | マネージドだがインスタンス設定が必要 |
| SQL | GoogleSQLなど | MySQL、PostgreSQL、SQL ServerのSQL |
例えば、ECサイトで注文を受け付ける処理にはCloud SQLを使い、蓄積した注文履歴を分析する処理にはBigQueryを使う構成があります。
利用者が注文 ↓ Cloud SQLに注文を登録 ↓ 注文データをBigQueryへ連携 ↓ 商品別・地域別に売上分析
BigQueryとCloud Firestoreの違い
| 項目 | BigQuery | Cloud Firestore |
|---|---|---|
| 主な用途 | 大量データの分析 | Web・スマートフォンアプリのデータ管理 |
| データ構造 | テーブル形式 | ドキュメント形式 |
| 主な操作 | 大量データの集計 | アプリからの登録・取得・更新 |
| リアルタイム同期 | 主目的ではない | 得意 |
Firestoreで管理しているアプリのデータをBigQueryへ連携し、利用傾向を分析する構成もあります。
BigQueryとCloud Storageの違い
| 項目 | BigQuery | Cloud Storage |
|---|---|---|
| 主な用途 | データの集計・分析 | ファイルの保存 |
| 保存形式 | テーブル | オブジェクト |
| SQLによる分析 | 得意 | 単体では行わない |
| 保存するもの | 売上、ログ、アクセス履歴など | 画像、動画、CSV、バックアップなど |
Cloud Storageはファイルを保管する場所、BigQueryはデータを分析する場所と考えると分かりやすいでしょう。
BigQueryと一般的なExcelの違い
| 項目 | BigQuery | Excel |
|---|---|---|
| データ量 | 非常に大量のデータを扱える | 比較的小規模なデータ向け |
| 操作方法 | 主にSQL | 画面操作や関数 |
| 複数人での利用 | 権限を設定して利用 | ファイル共有が中心 |
| 主な用途 | 組織全体のデータ分析 | 個人や小規模な集計 |
データ量が少なく、担当者が手作業で集計できる場合はExcelでも対応できます。
一方、データ量が増え、複数のシステムから継続的にデータを集める場合は、BigQueryのような分析基盤が必要になることがあります。
パーティションとは?
パーティションとは、大きなテーブルを特定の条件で分割して管理する仕組みです。
例えば、アクセスログを日付ごとに分割できます。
アクセスログテーブル ├─ 2026年7月1日のデータ ├─ 2026年7月2日のデータ ├─ 2026年7月3日のデータ └─ 2026年7月4日のデータ
7月4日のデータだけを調べる場合、対象の日付だけを読み取ることで、処理するデータ量を減らせます。
パーティションを適切に設定すると、クエリの処理時間や料金を抑えやすくなります。
クラスタリングとは?
クラスタリングとは、指定した列の値をもとに、関連するデータをまとめて配置する仕組みです。
例えば、商品カテゴリーや店舗コードをクラスタリング対象に設定できます。
特定の商品カテゴリーだけを検索するクエリが多い場合、読み取るデータ量を減らせる可能性があります。
パーティションとクラスタリングを組み合わせることで、大規模なテーブルを効率よく検索できます。
ビューとは?
ビューとは、保存したSQLの検索結果を、仮想的なテーブルとして扱う仕組みです。
例えば、売上テーブルから必要な列だけを表示するビューを作成できます。
CREATE VIEW sales_summary AS
SELECT
product_name,
SUM(amount) AS total_amount
FROM sales
GROUP BY product_name;
利用者は複雑なSQLを毎回書かなくても、作成済みのビューをテーブルのように参照できます。
マテリアライズドビューとは?
マテリアライズドビューは、クエリ結果の一部を保存し、繰り返し行われる集計を効率化する仕組みです。
通常のビューは参照時にSQLを実行しますが、マテリアライズドビューは事前に計算した結果を利用できる場合があります。
同じ集計を頻繁に実行する場合に、処理の高速化やコスト削減につながる可能性があります。
BigQuery MLとは?
BigQuery MLは、BigQuery内のデータを使い、SQLで機械学習モデルを作成・利用できる機能です。
機械学習とは、過去のデータからパターンを学び、予測や分類を行う技術です。
例えば、次のような用途に利用できます。
- 今後の売上を予測する
- 退会しそうな利用者を予測する
- 商品を購入しそうな利用者を分類する
- データの異常を検出する
ただし、機械学習を業務で正しく利用するには、データの品質や評価方法などの知識も必要です。
BigQueryの料金はどのように決まる?
BigQueryでは、主に次の料金が発生します。
- データを保存するためのストレージ料金
- クエリを処理するためのコンピューティング料金
- データの取り込みや転送に関する料金
- 一部の追加機能に関する料金
クエリ処理の料金体系には、大きく分けて次の考え方があります。
| 方式 | 概要 |
|---|---|
| オンデマンド | クエリが読み取ったデータ量などに応じて課金される |
| 容量ベース | クエリ処理能力を表すスロットの容量をもとに利用する |
料金体系や無料利用枠は変更される可能性があるため、実際に利用するときはGoogle Cloudの公式料金ページを確認しましょう。
スロットとは?
スロットとは、BigQueryがクエリを実行するために使用する仮想的な計算能力の単位です。
大量のデータを分析するクエリでは、複数のスロットを使って並列に処理します。
IT業務初心者の段階では、スロットはBigQueryの分析処理に使われる計算能力と理解しておけばよいでしょう。
BigQueryで料金が高くなりやすい例
BigQueryでは、SQLの書き方やテーブル設計によって、処理するデータ量が大きく変わることがあります。
例えば、次のような使い方には注意が必要です。
- 必要がないのに全列を取得する
- 日付の条件を指定せず大量データを検索する
- 同じ大規模クエリを何度も実行する
- 不要なデータを長期間保存する
- パーティションを利用せず巨大なテーブルを検索する
- 開発中に本番の全データを繰り返し参照する
BigQueryのコストを抑える基本
SELECT *を必要以上に使わない
次のSQLは、テーブルのすべての列を取得します。
SELECT *
FROM sales;
必要な列だけを指定することで、読み取るデータ量を減らせる場合があります。
SELECT
product_name,
amount
FROM sales;
WHERE句で対象を絞る
必要な期間だけを検索するようにします。
SELECT
product_name,
amount
FROM sales
WHERE order_date BETWEEN '2026-07-01' AND '2026-07-31';
パーティションを利用する
日付などでパーティションを設定し、必要な範囲だけを検索します。
実行前に処理量を確認する
Google Cloudコンソールでは、クエリを実行する前に処理対象となるデータ量の目安が表示される場合があります。
大規模なクエリを実行する前に確認する習慣を付けましょう。
料金上限やアラートを設定する
Google Cloudの予算設定やアラートを利用し、想定を超える料金が発生しそうな場合に確認できるようにします。
BigQueryのアクセス権限
BigQueryのデータには、顧客情報や売上情報などの重要な情報が保存されることがあります。
そのため、IAMを利用して適切にアクセス権限を設定する必要があります。
例えば、次のように権限を分けます。
- データを閲覧する担当者
- SQLを実行する担当者
- テーブルを作成する担当者
- データを登録・更新するシステム
- データセットを管理する管理者
すべての利用者へ管理者権限を与えるのではなく、業務に必要な最低限の権限だけを付与することが重要です。
サービスアカウントとは?
サービスアカウントとは、人ではなく、アプリケーションやシステムがGoogle Cloudへアクセスするためのアカウントです。
例えば、Cloud Run上のアプリケーションからBigQueryへデータを登録するときに利用します。
Cloud Run ↓ サービスアカウントで認証 BigQuery
サービスアカウントにも、必要最低限の権限だけを付与します。
BigQueryを利用するときの注意点
個人情報をそのまま保存しない
氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを扱う場合は、社内ルールや法令を確認する必要があります。
分析に不要な個人情報を削除したり、別の値へ置き換えたりする対策を検討します。
データセットのロケーションを確認する
データセットを作成するときは、データを保存するロケーションを選択します。
連携するサービスとのロケーションが異なると、制約やデータ転送料などが問題になる場合があります。
大量クエリを安易に実行しない
SQLが正常に動作するか確認するときは、最初から全データを対象にせず、小さな範囲で試すことが大切です。
本番テーブルを直接変更しない
更新や削除を伴う処理を行う場合は、検証環境やコピーしたテーブルで事前に確認します。
データの品質を確認する
元のデータに誤りや重複、欠損があると、BigQueryが高速に処理できても、分析結果は正しくなりません。
データの形式や内容を確認し、必要に応じて修正する作業が重要です。
ETLとELTとは?
BigQueryを扱う業務では、ETLやELTという言葉がよく登場します。
ETL
ETLは、次の3つの処理を表します。
- Extract:データを取り出す
- Transform:データを変換する
- Load:データを保存する
データを取り出し、利用しやすい形へ変換してからBigQueryなどへ保存します。
ELT
ELTは、データを先に保存してから変換する考え方です。
- Extract:データを取り出す
- Load:データを保存する
- Transform:保存したデータを変換する
BigQueryの計算能力を利用して、保存後にSQLでデータを加工する構成があります。
BigQueryを使ったシステム構成例
ECサイトのデータを分析する場合、次のような構成が考えられます。
ECサイト ↓ Cloud SQL ↓ データ転送・加工 ↓ BigQuery ↓ Looker ↓ 売上ダッシュボード
各サービスの役割は次のとおりです。
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Cloud SQL | 日々の注文データを登録・更新する |
| BigQuery | 注文履歴を集計・分析する |
| Looker | 分析結果をグラフや表で表示する |
BigQueryの操作方法
BigQueryは、複数の方法で操作できます。
- Google Cloudコンソール
- Google Cloud CLI
- REST API
- プログラミング言語別のクライアントライブラリ
- Terraform
- BIツール
IT業務初心者は、最初にGoogle Cloudコンソールからテーブルを確認し、簡単なSQLを実行するところから始めると理解しやすいでしょう。
初心者が最初に練習したいSQL
データを10件だけ確認する
SELECT *
FROM sales
LIMIT 10;
特定の列だけ確認する
SELECT
product_name,
amount
FROM sales
LIMIT 10;
条件で絞り込む
SELECT
product_name,
amount
FROM sales
WHERE amount >= 10000;
件数を数える
SELECT
COUNT(*) AS order_count
FROM sales;
合計金額を計算する
SELECT
SUM(amount) AS total_amount
FROM sales;
商品ごとに集計する
SELECT
product_name,
COUNT(*) AS order_count,
SUM(amount) AS total_amount
FROM sales
GROUP BY product_name
ORDER BY total_amount DESC;
よくある質問
BigQueryはデータベースですか?
データをテーブルへ保存し、SQLで検索できるため、広い意味ではデータベースとして扱われます。
ただし、一般的なWebアプリの注文登録や会員情報更新に使うデータベースではなく、大量データの集計・分析を主な目的としています。
BigQueryは無料で使えますか?
一定範囲の無料利用枠が用意されている場合があります。
ただし、保存するデータ量やクエリで処理するデータ量などによって料金が発生するため、利用前に最新の料金体系を確認してください。
BigQueryを使うにはSQLの知識が必要ですか?
基本的なデータ分析ではSQLを使用するため、SELECT、WHERE、GROUP BY、JOINなどを理解していると業務を進めやすくなります。
Excelの代わりに使えますか?
大量データの集計ではBigQueryが適していますが、セルへ直接入力して資料を整えるといったExcelの作業とは用途が異なります。
BigQueryで集計した結果をExcelやスプレッドシートへ出力して利用することもあります。
BigQueryに画像や動画を保存できますか?
画像や動画などのファイル本体の保存先には、通常Cloud Storageを利用します。
BigQueryには、ファイル名、保存先URL、作成日時など、分析に使用する情報を保存する構成があります。
BigQueryでデータを更新できますか?
SQLを使ってデータを追加・更新・削除することはできます。
ただし、1件ずつ頻繁に更新する業務システム向けのデータベースとは性質が異なるため、用途に応じた使い分けが必要です。
BigQueryはリアルタイム分析に使えますか?
データを継続的に取り込み、短い間隔で分析する構成を作ることは可能です。
ただし、求める反映速度や料金、データ量に応じて設計する必要があります。
IT業務初心者が覚えておきたいポイント
- BigQueryはGoogle Cloudのデータ分析サービス
- 大量のデータを保存してSQLで分析できる
- 分析用サーバーを自分で構築する必要がない
- プロジェクト、データセット、テーブルの階層で管理する
- 日々の注文処理よりも、蓄積データの集計・分析に向いている
- Cloud SQLやFirestoreとは用途が異なる
- Cloud StorageやLookerなどと連携して利用できる
- クエリで処理するデータ量によって料金が変わる場合がある
- パーティションやクラスタリングがコスト削減に役立つ
- 重要なデータには適切なIAM権限を設定する
関連して覚えておきたいGoogle Cloudサービス
- Cloud Storage
- Cloud SQL
- Cloud Firestore
- Cloud Run
- Pub/Sub
- Dataflow
- Dataproc
- Looker
- Vertex AI
- Identity and Access Management(IAM)
- Cloud Logging
- BigQuery Data Transfer Service
まとめ
BigQueryは、大量のデータを保存し、SQLを使って高速に集計・分析できるGoogle Cloudのデータ分析サービスです。
売上データ、アクセスログ、アプリの利用履歴、システムログなどを集め、商品別の売上や利用者の傾向、エラーの発生状況などを調査できます。
Cloud SQLやFirestoreがアプリケーションの日々のデータ処理に使われるのに対し、BigQueryは蓄積された大量データの分析を得意としています。
IT業務では、Cloud Storageからデータを読み込んだり、Cloud SQLのデータを連携したり、Lookerで分析結果を可視化したりする構成がよくあります。
まずは、「BigQueryは、会社やシステムが蓄積した大量のデータをSQLで集計・分析するためのサービス」と理解しておきましょう。
