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【完全解説】KISS原則とは?現場で本当に役立つ“シンプル思考”の使い方と実例

KISS原則とは何か?シンプルに作るための最も強力な指針

KISS原則とは “Keep It Simple, Stupid” の略で、「とにかくシンプルに保とう」というソフトウェア開発の基本思想です。
やや刺激的な言葉が入っていますが、開発者をけなす意図はなく、「複雑にしすぎると誰も得をしないよ」という戒めに近いものです。

KISS原則を噛み砕いて説明すると、次のようになります。

とくに現場では、「将来こうなるかもしれない」「あとで拡張したい」と考えすぎて、無駄に複雑なクラス構造やロジックを生みがちです。
しかしKISS原則は、そんな“未来の不確定な要求”よりも“今の明確な要件”を優先し、まずは簡単に保つことを強く推奨します。


実際の現場でのKISS原則 ― 私の体験談

私がKISS原則の重要性を痛感したのは、ある社内ツールの開発を担当した時でした。

当時、「ユーザーによって権限が変わるかもしれない」と言われた私は、将来の拡張を考えて、権限クラス、ロールクラス、ユーザー種別クラス、設定クラス…と複雑な構成を作ってしまいました。
結果としてどうなったかというと、

という、まさに“複雑さが自分を苦しめる”状況に陥ったのです。

最終的に、上司に「そこまで作り込まなくていい。単純にユーザーの種類を判定するIFだけで十分」と言われ、コードを一気に簡素化しました。
すると、圧倒的に修正しやすくなり、開発スピードも飛躍的に上がりました。

このとき真剣に感じたのが、「複雑さは“技術力の証”ではなく“保守の重荷”になる」という事実です。
KISS原則は、まさにこの落とし穴を避けるための大切な考え方なのです。


KISS原則を知っておくメリット ― 開発速度と品質が同時に上がる

KISS原則を意識するだけで、日々の開発が驚くほど改善されます。具体的なメリットをいくつか紹介します。

1. 保守性が高くなる

シンプルなコードは、誰でも読めます。
新人でもすぐに理解できるため、レビューもスムーズになり、改修もしやすくなります。

例:
「複雑なデザインパターン」を使うより、単純なIF文やループで十分な場面は多いです。
KISS原則は「パターンのためのパターン化」を防いでくれます。

2. バグが減る

処理が複雑になるほど、バグの温床が増えます。
KISS原則に従って構造を単純化すると、テスト対象も少なくなり、結果的に不具合の発生率が下がります。

3. 開発速度が上がる

複雑な設計を作り込むより、今必要な最低限の実装を行った方が圧倒的にスピードが出ます。
また、仕様変更にも柔軟に対応しやすくなります。

4. チーム全体の認識が揃う

複雑な設計や抽象化は、人によって理解が異なります。
シンプルなコードは捉え方の差が出づらく、チームとしての軸が安定します。


今日からできるKISS原則の使い方(応用編)

「シンプルにする」と言われても、具体的にどうすればいいか分からないことがあります。
そこで、現場で私が実践している“KISSを体現するためのテクニック”を紹介します。

1. 「未来の仕様」は一旦忘れる

将来の拡張を想定して複雑にしがちですが、未来はほぼ確実に変更されます。
まずは「今必要な最小限だけ」を作りましょう。

2. 抽象化より具象化を優先する

抽象クラス・インターフェイス・デザインパターンを乱用するのではなく、
「まずは具体クラスでよい。必要になったら抽象化しよう」という順番が重要です。

3. 一目で理解できるコードにする

コードレビューで「これは何をしているの?」と聞かれたら、KISSを破っています。
関数名、変数名は“説明文レベルで分かりやすく”を意識しましょう。

4. 一つの関数が複数の責務を持っていないか確認する

SOLID原則のSRP(単一責任)はKISSと相性が抜群です。
「この関数、何をしている?」と聞かれて一言で説明できなければ、分割すべきです。


まとめ:KISS原則は“簡単にする勇気”を与えてくれる

KISS原則は、開発者なら必ず知っておくべき基本思想です。
複雑さに価値を感じてしまいがちなエンジニアリングの世界で、“シンプルであること”は最強の武器になります。

実際、私もKISS原則を意識するようになってから、

といったメリットを強く感じています。

「もっと便利な設計があるはずだ」と複雑にしたくなった時ほど、
“本当にシンプルが最善ではないか?” と立ち止まることが大切です。

KISS原則は、あなたの開発を確実に楽にし、品質とスピードを両立させてくれる強力な指針です。
ぜひ明日の開発から、意識して取り入れてみてください。

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