アジャイルのスプリントとは
アジャイルでは短い期間で一区切りをつけて開発を進めていきます。その期間を「スプリント」と呼びます。そもそものスプリントの意味は「短時間に全力で走る」ということです。また、アジャイルは「素早い」という意味です。アジャイルのスプリントというと「素早い開発手法の中で短期間という一区切りをつくり、その中で全力で機能を開発する」といったところです。
理想は1スプリントでおさまる形でその中でできる限りの機能の追加を行う形です。1スプリント内で設計・開発・テストまでを行い、スプリントレビューで「ここまでできましたよ!」と報告できることが素晴らしいことです。ただどうしてもおさまらなかったりすることはあるので難しいところではありますが。
期間は1週間または2週間が主になります。プロジェクトの性格によっては1か月とかあるかもしれませんが、あまり長い期間になってしまうとそのメリットを享受することが出来なくなってしまいます。
スプリントで開発するメリット
機能の充実が目に見えてわかる達成感
大きなプロジェクトになるほど、タスクは細分化されます。そのため、自分が今何の機能のどれを作っていてそれがどう動くのかというところが全体的な視点では見にくいと感じることがあります。
アジャイルですと少人数にチームで、長期間ではありますがその中に短期間のスプリントが区切られているため、疑似的にプロジェクトが終了することを繰り返し見ることが出来ます。そのたびに「これが出来た」「この機能が完成した」という目に見えた成果が見えるため、達成感を持ちながら開発を進めることが出来ます。
軌道修正がしやすい
もしも「この機能はもうやらなくていい」「新たに優先度高でこの機能を入れたい」となったときに、「ではそれは次のスプリントでやりましょう」と柔軟に対応できます。
ウォーターフォール型の開発ですと先の先までWBSがひかれていることもあり、また顧客とのもともとの合意の上で進めているものを変えるのは非常に労力が必要です。再度合意をするための打ち合わせをし、そのうえでWBSを引き直さなければいけないためです。
アジャイルでは長期のスケジュールはもちろんありますが、優先度ごとにタスクを分けて、別機能を入れる事態が出てきたら優先度低のタスクを後ろにずらしてそのタスクを割り込ませればいいので、軌道修正そのものにそこまで労力を要しません。
反復練習によるノウハウの蓄積と効率化
ここが一番大きいメリットだと個人的には思いますが、短い期間で設計・製造・開発を繰り返しているのでそれぞれのタスクでのノウハウを蓄積しやすいです。スプリントの終わりにはふりかえりを実施し、良かった点と反省点を出して改善策を決めたうえで次のスプリントに進むので、1スプリントを終えるたびによりよくプロジェクトを回していけるようになります。
アジャイル開発ですとトライアンドエラーを短期間で繰り返して進めることが出来ます。あるスプリントで新しいものを導入し、それがもしうまくいかなかったとしても次のスプリントでは元に戻す選択肢もありますし、逆に続けることでうまくいけるように進めていく事も出来ます。「これはダメだった」ということが学べるわけでもあり、またはうまくやるためにはどうするべきかを学べるのです。
メンバーも単なる作業者ではなく一緒にチームを運営していく仲間です。コミュニケーションが主に必要な開発手法ですから、プロジェクトやチーム全体を見渡すということが身に付きます。それによりマネジメントや上流工程に進むための下地を作ることだってできるのです。
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