【はじめてでも理解できる】MVP(Minimum Viable Product)とは何か?
MVP(Minimum Viable Product)とは、「最低限の価値を提供できる最小限のプロダクト」という意味です。
もっと噛み砕いていうと、「ユーザーが価値を感じる“核となる機能だけ”を先に作り、素早く市場に出して反応を見るためのプロダクト」のことです。
アプリやWebサービスを作るとき、つい「もっと機能を入れたい」「デザインも完璧にしたい」と思ってしまいます。しかし、それを全部やっていると時間もコストもかかり、リリースが遅れてしまいます。
そこで役立つのがこのMVPという概念です。
MVPでは、ユーザーが価値を実感できる最小限の機能だけに絞って制作します。そして、そのプロダクトを実際にユーザーに使ってもらい、そこから得られたフィードバックをもとに改善を繰り返します。結果として、無駄な開発を減らし、ユーザーの本当に求める機能を効率よく作れるのです。
【実体験】私がMVPを活用して失敗を防いだ話
私が初めてMVPを意識して開発したのは、社内向けの「勤怠チェックツール」を作ったときでした。
当初、私は「勤怠入力」「上長承認」「遅刻理由入力」「休暇管理」「月次レポート」など、フル機能に近いものを作ろうとしていました。
しかし、仕様を練り込むほど開発期間が伸び、リリースが遅れそうでした。
そこで、スクラムマスターの先輩に「まずMVPにしよう」と言われ、以下の3つだけに絞ることにしました。
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出勤・退勤の打刻
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日付ごとの一覧表示
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CSV出力だけ(管理者が使いやすいように)
この3つだけなら1週間で完成。
実際にチームで使ってもらったところ、「スマホから打刻したい」「前日の修正機能がほしい」など、想像していなかった要望が多く出てきました。
もし私が当初の計画通り、巨大なシステムを作っていたら、不要な機能を大量に実装し、さらにユーザーのニーズからズレたものになっていたと思います。
MVPを意識したことで、無駄な工数を減らせただけでなく、ユーザーが本当に必要としている改善ポイントを正しく集めることができたのです。
【MVPを知っておくメリット】プログラマーとSEが得する3つのポイント
1. 開発スピードが大幅に向上する
最小限の機能だけに絞るため、リリースまでの時間が短くなります。
仕様の追加・変更が多い現場では特に効果的です。
2. 無駄な機能を作らずに済む
ユーザーに使ってもらってから改善するため、実際に使われない機能を作るリスクを大幅に減らせます。
「作ったのに使われない」という開発者あるあるも防げます。
3. ユーザーのリアルな声を得られる
初期段階で実際のユーザーに使用してもらうため、机上の空論ではなく、“実際に使われるサービス”へと育てることができます。
リリース後の方向性も確実に定まり、プロダクトの品質が加速度的に高まります。
【応用編】MVPをさらに便利にする実践テクニック
◆ 1. 仮説—検証サイクルを明確にする
MVPは「仮説 → 構築 → 計測 → 学習」の循環こそが本質です。
開発前に「ユーザーは○○したいはず」という仮説を立て、それを実証するための機能に絞り込みます。
◆ 2. ノーコード・ローコードと組み合わせる
MVPの段階では、必ずしもフルコードで作る必要はありません。
以下のようなツールを使えば、爆速で検証できます。
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Notion + フォーム
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Bubble
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Webflow
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Zapier
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Google Apps Script
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Figmaでプロトタイプだけ見せるのも有効
これにより、開発コストをほぼゼロに近づけながら、必要な検証が可能になります。
◆ 3. 既存のプラットフォームを利用する
たとえば、独自のECサイトを作る前に、まずはメルカリやBASEで販売してみる、といった方法です。
これも立派なMVPであり、初期段階でユーザーの反応を得やすくなります。
【まとめ】MVPは“速く学ぶ”ための最強の開発手法
MVPは、ただ機能を削ったプロダクトではなく、「ユーザーの声から最大の学びを得るための仕組み」です。
特にプログラマーやSEにとって、MVPの考え方を理解しているだけで以下の効果が得られます。
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開発期間の短縮
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無駄な機能開発の削減
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ユーザーに本当に使われるプロダクトの創出
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プロジェクト失敗率の低下
もしあなたが「機能が多すぎてまとまらない」「いつまで経ってもリリースできない」と悩んでいるなら、まずは一度MVPを意識してみてください。
最小限から始めることで、より確実で価値あるプロダクトづくりができるようになります。

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