回線冗長とは?初心者向けに仕組みや構成例、導入するメリットをわかりやすく解説

回線冗長とは?初心者向けに仕組みや構成例、導入するメリットをわかりやすく解説

回線冗長とは、インターネット回線や拠点間回線を複数用意し、1回線に障害が発生しても別の回線へ自動または手動で切り替えて通信を継続する仕組みです。

企業では、インターネット回線が停止するとメールやWeb会議、クラウドサービスなどが利用できなくなり、業務へ大きな影響が発生します。そのため、重要なネットワークでは回線冗長を採用することがあります。

この記事では、IT業務初心者向けに回線冗長の仕組みや構成例、設計時のポイントを解説します。

回線冗長とは?

回線冗長とは、1本だけではなく複数の通信回線を用意し、障害時でもネットワークを継続利用できるようにする構成です。

通常はメイン回線を利用し、障害が発生した場合に予備回線へ切り替える方式が一般的です。

回線 役割
メイン回線 通常時に利用する
バックアップ回線 障害時に利用する

なぜ回線冗長が必要なのか

インターネット回線は、設備故障や工事、災害などさまざまな理由で利用できなくなることがあります。

回線を1本だけ契約している場合、その回線が停止すると業務も停止する可能性があります。

回線冗長を導入することで、次のようなメリットがあります。

  • インターネット接続を維持できる
  • 業務停止時間を短縮できる
  • クラウドサービスを継続利用できる
  • Web会議やVPN接続を維持しやすい
  • 事業継続計画(BCP)対策になる

回線冗長の構成例

① 光回線+光回線

異なる回線事業者の光回線を2本契約する構成です。

片方の回線で障害が発生しても、もう一方の回線で通信を継続できます。

② 光回線+モバイル回線

メイン回線に光回線、バックアップ回線にLTEや5G回線を利用する構成です。

小規模オフィスでも採用しやすい方法です。

③ 拠点間回線の冗長化

本社と支社を接続する専用線やVPNを複数用意する構成です。

片方の回線が利用できなくなっても、業務を継続できます。

現場でよくある回線冗長構成

メイン回線 バックアップ回線 利用例
光回線 光回線 大規模オフィス
光回線 LTE・5G 中小企業
専用線 VPN 拠点間接続

回線冗長の切り替え方式

自動切り替え(フェイルオーバー)

メイン回線で障害を検知すると、自動的にバックアップ回線へ切り替える方式です。

利用者が特別な操作をしなくても通信を継続できるため、多くの企業で採用されています。

手動切り替え

障害発生時に管理者が設定を変更して回線を切り替える方式です。

導入コストは抑えられますが、復旧まで時間がかかることがあります。

回線冗長で気を付けるポイント

異なる回線事業者を利用する

同じ事業者の回線を2本契約していても、設備障害が発生すると両方とも利用できなくなる可能性があります。

可能であれば、異なる事業者や異なる回線方式を組み合わせることが望ましいです。

ルーターも冗長化する

回線だけを二重化しても、ルーターが1台だけでは障害時に通信できなくなる可能性があります。

重要なシステムではルーターの冗長化も検討します。

定期的に切り替え試験を行う

バックアップ回線を用意していても、正常に切り替わるとは限りません。

定期的にフェイルオーバーテストを実施し、障害時に通信を継続できることを確認します。

現場でよくあるトラブル

症状 考えられる原因
切り替わらない フェイルオーバー設定ミス
両回線とも利用不可 同一事業者・同一経路の障害
通信速度が低下する バックアップ回線の帯域不足
VPNが切断される 切り替え時の再接続が必要
バックアップ回線が動作しない 切り替え試験未実施

GUIで確認する方法

ルーターの管理画面では、次のような項目を確認できます。

  • WAN接続状態
  • 回線の稼働状況
  • フェイルオーバー状態
  • 通信ログ
  • 回線切り替え履歴

CLIで確認する内容

企業向けルーターでは、CLIから回線状態やルーティング情報を確認することがあります。

  • WANインターフェース状態
  • ルーティングテーブル
  • ログ
  • フェイルオーバー状態

CLIコマンドはメーカーによって異なります。

初心者がやりがちなミス

  • 回線だけを冗長化すれば十分だと思う
  • 同じ回線事業者を利用する
  • 切り替え試験を行わない
  • バックアップ回線の速度を確認しない
  • UPSやルーターの冗長化を考慮しない

筆者の経験談

以前、回線冗長を構成した拠点で、メイン回線とバックアップ回線の両方を同じ通信事業者で契約していました。近隣設備の障害が発生した際、両回線とも利用できなくなり、冗長構成として機能しなかったことがあります。

この経験から、現在では可能な限り異なる事業者や異なる回線方式を組み合わせるよう設計しています。回線を2本用意するだけではなく、「同じ原因で同時に停止しないか」を考えることが重要です。

上司へ報告するポイント

  • 回線構成
  • 利用する回線事業者
  • 切り替え方式
  • 想定されるバックアップ時間
  • 切り替え試験結果
  • 残っているリスク

エスカレーションするタイミング

  • 回線が切り替わらない場合
  • 両回線とも通信できない場合
  • ルーター設定の変更が必要な場合
  • 通信事業者への問い合わせが必要な場合
  • ネットワーク全体へ影響する障害が発生している場合

関連するIT用語

  • 冗長構成
  • フェイルオーバー
  • WAN
  • ルーター
  • VPN
  • 専用線
  • BCP(事業継続計画)
  • 可用性
  • VRRP
  • インターネット回線

よくある質問(FAQ)

回線を2本契約すれば必ず冗長化できますか?

必ずしもそうではありません。回線の切り替え設定やルーターの対応が必要です。また、同じ事業者・同じ設備を利用している場合は、同時に障害が発生する可能性があります。

小規模オフィスでも回線冗長は必要ですか?

業務でクラウドサービスやWeb会議を多く利用する場合は、光回線とモバイル回線を組み合わせた構成などを検討すると、障害時の影響を軽減できます。

回線冗長とロードバランシングは同じですか?

異なります。回線冗長は障害時に通信を継続することが目的です。一方、ロードバランシングは複数回線へ通信を分散し、回線を効率よく利用することが目的です。

まとめ

回線冗長は、インターネット回線や拠点間回線に障害が発生しても業務を継続できるようにする重要な仕組みです。

異なる回線事業者や回線方式を組み合わせ、フェイルオーバー設定や定期的な切り替え試験を実施することが、安定したネットワーク運用につながります。

IT業務初心者は、「回線を2本用意すること」が目的ではなく、「障害が発生しても利用者が業務を継続できる状態を実現すること」が回線冗長の本来の目的であることを理解しておきましょう。

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