作業手順書の作り方|IT業務初心者向けに書き方・テンプレート・ポイントをわかりやすく解説
作業手順書とは、誰が作業を行っても同じ結果になるように、作業の流れや操作方法を具体的にまとめた文書です。
社内SEやヘルプデスク、インフラエンジニアの業務では、サーバーやネットワーク機器の設定変更、Windows Update、パソコンのセットアップなど、さまざまな作業を実施します。作業手順書を作成することで、作業品質を統一し、設定ミスや作業漏れを防ぐことができます。
作業手順書とは
作業手順書とは、作業を実施するための具体的な操作手順を時系列で記載した文書です。
「どの画面を開くのか」「どのボタンを押すのか」「どのコマンドを実行するのか」など、作業者が迷わず進められる内容を記載します。
作業計画書が「何を・なぜ実施するか」をまとめた資料であるのに対し、作業手順書は「どのように実施するか」を詳しく説明する資料です。
どんな場面で作成するのか
- Windows Updateの適用
- パソコンの初期設定
- Active Directoryへのユーザー登録
- 共有フォルダーのアクセス権設定
- ネットワーク機器の設定変更
- サーバーの再起動
- プリンターの設置
- 定期メンテナンス作業
なぜ作業手順書が重要なのか
担当者の経験だけに頼って作業を行うと、作業品質にばらつきが生じます。
また、担当者が休暇や異動で不在になった場合、他の担当者が同じ作業を実施できなくなることがあります。
作業手順書を整備することで、担当者が変わっても同じ品質で作業を実施でき、教育資料としても活用できます。
初心者が混乱しやすいポイント
| よくある勘違い | 実際は |
|---|---|
| 操作だけ書けばよい | 事前準備や確認方法も必要 |
| 経験者向けに書けばよい | 初心者でも理解できる内容にする |
| 一度作れば終わり | 環境変更に合わせて更新する |
| 細かい説明は不要 | 画面名やボタン名まで具体的に記載する |
作業手順書に記載する主な項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作業名 | 例:Windows Update適用 |
| 作業目的 | 何のために行うか |
| 対象機器 | パソコン・サーバーなど |
| 前提条件 | 必要な権限や環境 |
| 事前準備 | バックアップ・必要資料の確認 |
| 作業手順 | 操作内容を順番に記載 |
| 確認項目 | 正常に完了したかの確認方法 |
| 異常時の対応 | エラー時の対処方法 |
| 切り戻し手順 | 元の状態へ戻す方法 |
| 更新履歴 | 作成日・更新日・更新者 |
作業手順書の作り方
1. 作業の目的を書く
最初に、この作業を実施する目的を記載します。
例:
- セキュリティ更新プログラムを適用するため
- 新入社員用パソコンを準備するため
- ネットワーク機器を交換するため
2. 前提条件を明確にする
- 管理者権限が必要
- 対象機器の電源が入っている
- ネットワークへ接続されている
- バックアップが取得済みである
事前条件を書いておくことで、作業開始後のトラブルを防げます。
3. 事前準備を書く
- バックアップを取得する
- 作業計画書を確認する
- ネットワーク構成図を確認する
- IPアドレス台帳を確認する
- 必要なケーブルや機器を準備する
4. 作業手順を時系列で記載する
手順は番号を付け、1つの手順につき1つの操作を記載すると分かりやすくなります。
- 対象サーバーへ管理者アカウントでログインする。
- 設定画面を開く。
- 対象設定を変更する。
- 設定内容を保存する。
- 必要に応じてサービスを再起動する。
- 動作確認を実施する。
「設定を変更する」のような曖昧な表現ではなく、「〇〇メニューを開き、△△を『有効』へ変更する」のように具体的に記載しましょう。
5. 確認項目を書く
- エラーメッセージが表示されていない
- サービスが起動している
- ネットワークへ接続できる
- 利用者が正常に利用できる
- イベントログにエラーがない
6. 異常時の対応を書く
作業中にエラーが発生した場合の対応方法を記載します。
- エラーメッセージを記録する
- ログを確認する
- 上司へ報告する
- 必要に応じて切り戻しを実施する
7. 切り戻し手順を書く
変更後に問題が発生した場合に、元の状態へ戻す手順を記載します。
- バックアップ設定を復元する
- 旧機器へ戻す
- サービスを再起動する
- 動作確認を行う
実際のIT現場での利用例
新入社員用のパソコンをセットアップする場合、Windows Update、ドライバー更新、Active Directoryへの参加、業務アプリのインストール、プリンター設定などを手順書にまとめておくことで、担当者が変わっても同じ品質で作業を実施できます。
筆者が経験した失敗談
以前、作業手順書に「設定変更後、動作確認を行う」とだけ記載していました。
しかし、何を確認するのかが書かれていなかったため、担当者によって確認内容が異なり、一部の設定ミスを見逃してしまいました。
それ以降は、「共有フォルダーへアクセスできること」「印刷できること」など、確認項目を具体的に記載するようにしています。
業務でよくあるトラブル
- 手順漏れがある
- 画面名やボタン名が省略されている
- 更新されていない古い手順書を使用する
- 異常時の対応方法が記載されていない
- 確認項目が不足している
原因の切り分け
| 確認項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 作業手順 | 手順どおり実施したか |
| 設定内容 | 変更漏れがないか |
| ログ | エラーが記録されていないか |
| 確認項目 | すべて実施したか |
| 手順書 | 最新版を使用したか |
GUIでの確認方法
Windowsでは、「設定」「コントロールパネル」「コンピューターの管理」などを利用して設定内容を確認します。
ネットワーク機器では、Web管理画面から設定内容や状態を確認することが一般的です。
CUI(コマンド)で確認できる内容
コマンドプロンプト
- ipconfig:IPアドレス確認
- ping:通信確認
- hostname:コンピューター名確認
- systeminfo:OS情報確認
- nslookup:DNS確認
PowerShell
- Get-ComputerInfo:PC情報確認
- Get-NetIPAddress:IPアドレス確認
- Get-Service:サービス状態確認
- Test-NetConnection:通信確認
確認結果の見方
- 設定内容が手順書どおりか
- エラーが発生していないか
- 必要なサービスが起動しているか
- 利用者が正常に利用できるか
- イベントログに異常がないか
ログの確認方法
作業後は対象機器のログを確認し、エラーや警告が出力されていないか確認します。
サーバーやネットワーク機器だけでなく、監視システムやバックアップソフトのログも確認すると安心です。
イベントビューアーの確認方法
Windowsで作業を行った場合は、イベントビューアーを起動し、「Windowsログ」→「システム」「アプリケーション」を確認します。
重大・エラー・警告のイベントが増えていないか確認し、必要に応じてイベントIDも記録しておくと原因調査に役立ちます。
初心者がやりがちなミス
- 専門用語だけで説明する
- 画面名を書かない
- 確認項目を省略する
- 異常時の対応を書かない
- 更新履歴を残さない
業務で上司へ報告するポイント
- 作業が正常に完了したか
- 予定どおりの結果になったか
- エラー発生の有無
- 切り戻しの実施有無
- 手順書の修正が必要か
- 今後の改善点
エスカレーションするタイミング
- 手順どおりに実施してもエラーが解消しない
- 手順書と実際の画面が異なる
- 重要システムに影響が及ぶ可能性がある
- 切り戻しでも復旧しない
- 想定外の障害が発生した
新人が覚えておくべきポイント
- 初心者でも実施できる内容で書く
- 画面名やボタン名を省略しない
- 確認項目を具体的に記載する
- 異常時の対応を必ず書く
- 環境変更時は手順書を更新する
現場で評価される作業手順書のポイント
- 目的と前提条件が明確である
- 操作手順が具体的である
- 確認項目に漏れがない
- 異常時の対応が記載されている
- 切り戻し手順が実行可能である
- スクリーンショットや画面名が整理されている
- 更新履歴が管理されている
関連するIT用語
- 作業計画書
- 変更管理(Change Management)
- 運用手順書
- 標準作業手順書(SOP:Standard Operating Procedure)
- 切り戻し(ロールバック)
- 機器管理台帳
- IPアドレス台帳
- ネットワーク構成図
よくある質問(FAQ)
作業手順書と作業計画書は同じものですか?
いいえ。作業計画書は「何を・いつ・誰が・なぜ実施するか」をまとめた計画書であり、作業手順書は「どのように操作するか」を具体的に記載した実施手順です。多くの企業では別の文書として管理します。
スクリーンショットは入れたほうがよいですか?
はい。特に初心者向けの手順書では、画面名だけでなくスクリーンショットも掲載すると、操作ミスを減らしやすくなります。ただし、システム変更後は画像も最新の状態へ更新しましょう。
作業手順書はどのくらいの頻度で更新しますか?
システムや画面、運用手順が変更されたタイミングで更新するのが基本です。また、実際に手順書を使った担当者から改善点を集め、定期的に見直すことで、より実用的な手順書になります。
まとめ
作業手順書は、IT業務を安全かつ正確に実施するための重要な文書です。
単に操作手順を並べるだけでなく、事前準備、確認項目、異常時の対応、切り戻し手順まで記載することで、担当者が変わっても同じ品質で作業を実施できます。
初心者のうちは「自分以外の人がこの手順書だけで迷わず作業できるか」という視点で作成・見直しを行うことが、分かりやすく実用的な作業手順書を作るコツです。

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