ネットワークループとは?原因・症状・確認方法・対処法を初心者向けに解説
ネットワークループとは、LAN内で通信データが同じ経路を何度も回り続ける状態です。
ネットワークループが発生すると、スイッチや回線へ大量の通信が流れ、社内ネットワーク全体が遅くなったり、完全に通信できなくなったりします。
原因として多いのは、LANケーブルの誤接続です。特に、ネットワークスイッチのポート同士を不用意に接続した場合や、複数の経路を作った場合に発生します。
ネットワークループとは?
ネットワークループとは、ネットワーク内に通信が循環する経路が作られ、同じデータが繰り返し転送される現象です。
例えば、2台のネットワークスイッチを複数本のLANケーブルで接続し、ループを防止する設定が行われていない場合に発生します。
通信データが消えずに増え続けるため、短時間でネットワーク機器が処理しきれない状態になります。
ネットワークループが発生するとどうなる?
- 社内ネットワーク全体が遅くなる
- インターネットへ接続できなくなる
- 共有フォルダへアクセスできない
- 社内システムがタイムアウトする
- IP電話やWeb会議が切断される
- DHCPでIPアドレスを取得できなくなる
- ネットワークスイッチのランプが激しく点滅する
ネットワークループは、1本のLANケーブルの誤接続が原因でも、部署全体や拠点全体へ影響することがあります。
なぜ通信が止まるのか
LANでは、宛先が分からない通信やブロードキャスト通信を、ネットワークスイッチが複数のポートへ転送します。
ブロードキャストとは、同じネットワーク内のすべての機器へ送る通信です。
ループした経路があると、ブロードキャスト通信がスイッチ間を何度も循環します。さらに、その通信が複製され続けることで、ネットワーク上の通信量が急増します。
この状態をブロードキャストストームと呼びます。
ネットワークループが発生する主な原因
| 原因 | 具体例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| LANケーブルの誤接続 | 同じスイッチのポート同士を接続 | 配線状態 |
| スイッチ間の二重接続 | 2台のスイッチを複数本で接続 | 上位接続 |
| 小型スイッチの増設 | 利用者が勝手にハブを接続 | 机下や会議室 |
| STPの無効化 | ループ防止機能が動作していない | スイッチ設定 |
| 配線作業のミス | 壁面ポート同士を誤接続 | 作業履歴 |
| 仮想環境の設定ミス | 仮想スイッチで経路が重複 | 仮想ネットワーク設定 |
どんな場面で発生しやすい?
- オフィスのレイアウト変更後
- LANケーブルの差し替え後
- ネットワークスイッチの増設後
- 会議室へ小型スイッチを設置した後
- 机や島の配線を変更した直後
- 停電やネットワーク機器の再起動後
障害発生前に配線変更や機器追加が行われていないか確認すると、原因を早く特定できます。
初心者が混乱しやすいポイント
スイッチを2本のLANケーブルで接続すると速くなるわけではない
ネットワークスイッチ同士を複数本で接続しても、通常は単純に通信速度が2倍になるわけではありません。
適切なリンクアグリゲーション設定を行わずに複数本を接続すると、ネットワークループが発生する可能性があります。
同じスイッチ内でもループは発生する
1台のネットワークスイッチで、ポート同士をLANケーブルで接続した場合もループが発生します。
パソコンの再起動では直らない
原因がネットワーク配線やスイッチ側にある場合、利用者のパソコンを再起動しても根本的な解決にはなりません。
まず確認する順番
- 影響範囲を確認する
- 障害が発生した時刻を確認する
- 直前に配線変更や機器追加がなかったか確認する
- ネットワークスイッチのランプ状態を確認する
- 怪しいLANケーブルや小型スイッチを確認する
- ネットワーク管理者へエスカレーションする
ネットワークループが疑われる場合は、端末設定を変更するより先に、影響範囲と配線変更の有無を確認することが重要です。
影響範囲を確認する
| 影響範囲 | 疑われる場所 |
|---|---|
| 自分の端末だけ | 端末、LANケーブル、LANポート |
| 同じ島だけ | 島内の小型スイッチ、配線 |
| 同じフロア全体 | フロアスイッチ、配下の配線 |
| 拠点全体 | 基幹スイッチ、上位ネットワーク |
| 有線LANだけ | 有線スイッチ、壁面配線 |
| Wi-Fiを含む全体 | 上位スイッチ、基幹ネットワーク |
ネットワークループを確認する方法
スイッチのランプを確認する
ネットワークループが発生すると、多数のポートランプが一斉に激しく点滅することがあります。
ただし、ランプの点滅だけでループと断定はできません。通常の大量通信でも点滅するため、影響範囲やスイッチのログと合わせて判断します。
Pingで通信状態を確認する
Windows + Rを押し、「cmd」と入力してコマンドプロンプトを開きます。
デフォルトゲートウェイを確認します。
ipconfig
表示されたデフォルトゲートウェイへ継続的にPingを実行します。
ping デフォルトゲートウェイのIPアドレス -t
ネットワークループが発生している場合、応答時間が大きく変動したり、タイムアウトが連続したりすることがあります。
停止するときはCtrl + Cを押します。
ARPの状態を確認する
コマンドプロンプトで次のコマンドを実行します。
arp -a
ARP(Address Resolution Protocol)は、IPアドレスとMACアドレスを対応付ける仕組みです。
ただし、端末側のARP情報だけでネットワークループを確定することは困難です。調査材料の一つとして利用します。
PowerShellで確認できる内容
ネットワークアダプターの状態を確認します。
Get-NetAdapter
デフォルトゲートウェイへの通信を確認します。
Test-Connection デフォルトゲートウェイのIPアドレス -Count 20
PowerShellの結果も、発生時刻やタイムアウト回数と合わせて記録しておくと報告に役立ちます。
イベントビューアーで確認する方法
Windows + Xを押し、「イベントビューアー」を開きます。
次の場所を確認します。
- Windowsログ
- システム
障害が発生した時刻の前後で、ネットワークアダプター、DHCP Client、TCP/IP関連の警告やエラーがないか確認します。
ただし、ネットワークループそのものは、端末のイベントビューアーだけでは特定できない場合が多くあります。スイッチのログや監視システムの確認が必要です。
ネットワーク機器側で確認する内容
- ポートごとの通信量
- ブロードキャスト数
- MACアドレステーブルの変動
- STPの状態
- ポートの遮断履歴
- ループ検知ログ
- CPU使用率
これらの確認にはネットワーク機器の管理権限が必要です。初心者が自己判断で設定を変更せず、ネットワーク管理者へ依頼してください。
STPとは?
STP(Spanning Tree Protocol)は、ネットワーク内に複数の経路がある場合に、ループが発生しないよう一部の経路を自動的に停止する仕組みです。
通常時は1つの経路を使用し、障害時には予備経路へ切り替える構成で利用されます。
STPが無効になっていたり、対応していない小型スイッチが接続されていたりすると、ループを防げない場合があります。
具体的な対処方法
原因となるLANケーブルを外す
ループしているLANケーブルが特定できた場合は、そのケーブルを外すことで通信が復旧する可能性があります。
ただし、重要なネットワーク回線を誤って切断すると影響が拡大するため、必ず管理者の指示を受けて作業してください。
追加された小型スイッチを確認する
机の下、会議室、複合機周辺などに、管理外の小型スイッチが接続されていないか確認します。
利用者がLANポートを増やす目的で機器を追加し、誤配線によってループが発生することがあります。
配線を正しい状態へ戻す
障害発生前に配線変更を行っている場合は、作業記録や配線図を確認し、変更前の状態へ戻します。
スイッチのループ防止機能を有効にする
管理機能付きスイッチでは、STP、ループ検知、BPDU Guardなどの機能を利用できる場合があります。
設定変更はネットワーク全体へ影響するため、設計内容を確認したうえでネットワーク管理者が実施します。
現場で実際によくある事例
オフィスのレイアウト変更後、同じフロア全体でネットワークが極端に遅くなったことがありました。
端末からデフォルトゲートウェイへPingを実行すると、タイムアウトが連続していました。現場を確認したところ、机の下に設置された小型スイッチの2つのポートが、別々の壁面LANポートへ接続されていました。
該当するLANケーブルを管理者の指示で外すと通信は復旧しました。原因は、レイアウト変更時の誤配線によるネットワークループでした。
この経験から、複数人へ同時に影響が出た場合は、パソコン側の設定だけでなく、直前の配線作業を確認することが重要だと分かりました。
初心者がやりがちなミス
- パソコンの再起動だけを繰り返す
- ネットワークループを端末故障だと判断する
- 配線変更の有無を確認しない
- スイッチ同士を複数本のLANケーブルで接続する
- 管理者に無断で小型スイッチを増設する
- 原因不明のままネットワーク機器を再起動する
上司へ報告するポイント
- 障害の発生日時
- 影響を受けている部署やフロア
- 有線LANとWi-Fiのどちらに影響があるか
- 直前に行われた配線変更や機器追加
- Pingの結果
- スイッチのランプ状態
- 確認した場所と配線
- 実施した対処と復旧時刻
「ネットワークが遅い」だけではなく、「同じフロアの約20台で通信不可」「14時30分の配線変更後に発生」のように、影響範囲と時刻を具体的に報告します。
エスカレーションするタイミング
- 複数の利用者で同時に通信障害が発生している
- スイッチの多数のランプが激しく点滅している
- 配線変更後に拠点全体が通信できなくなった
- ループしているポートを特定できない
- STPやスイッチ設定の確認が必要
- 基幹スイッチへ影響している可能性がある
ネットワークループは影響が急速に拡大する可能性があります。疑わしい場合は、通常の端末障害よりも早めにネットワーク管理者へ連絡してください。
注意点
ネットワークスイッチやLANケーブルを無作為に外すと、正常な通信まで停止する可能性があります。
特に、サーバー、無線LANアクセスポイント、IP電話、監視カメラなどへ接続されているポートは注意が必要です。
配線変更、スイッチ再起動、STP設定変更、ポート停止は、必ず管理者の許可を得て実施してください。
応用知識
MACアドレスフラッピングとは?
MACアドレスフラッピングとは、同じMACアドレスが複数のスイッチポート間で短時間に移動して見える状態です。
ネットワークループが発生すると、同じ通信が複数経路から届くため、スイッチのMACアドレステーブルが頻繁に書き換わることがあります。
BPDU Guardとは?
BPDU Guardは、利用者用ポートなどで不正なスイッチ接続を検知した場合に、そのポートを停止してループを防ぐ機能です。
企業ネットワークでは、STPやループ検知機能と組み合わせて障害の拡大を防止します。
関連するIT用語
- ネットワークスイッチ
- ブロードキャスト
- ブロードキャストストーム
- STP(Spanning Tree Protocol)
- MACアドレス
- ARP(Address Resolution Protocol)
- VLAN(Virtual Local Area Network)
- リンクアグリゲーション
- BPDU Guard
よくある質問(FAQ)
Q. ネットワークループはLANケーブル1本でも発生しますか?
はい。同じスイッチの2つのポートを1本のLANケーブルで接続すると、ループが発生する可能性があります。
Q. スイッチ同士を2本のLANケーブルで接続してはいけませんか?
適切なリンクアグリゲーションやSTPの設定がない状態では、ループが発生する可能性があります。自己判断で複数本を接続しないでください。
Q. ネットワークループはパソコンの設定が原因ですか?
一般的には、LANケーブルの誤配線やスイッチ接続が主な原因です。ただし、仮想化環境や特殊なブリッジ設定では、端末やサーバーの設定が原因になる場合もあります。
Q. ループが発生したらスイッチを再起動すれば直りますか?
一時的に復旧しても、誤配線が残っていれば再び発生します。原因となる経路を特定し、配線や設定を修正する必要があります。
Q. Pingだけでネットワークループを特定できますか?
Pingでは通信遅延やタイムアウトを確認できますが、ループを確定することは困難です。スイッチのログ、通信量、MACアドレステーブルなども確認します。
まとめ
ネットワークループとは、LAN内に循環する経路が作られ、通信データが繰り返し転送される現象です。
発生するとブロードキャストストームによって通信量が急増し、部署や拠点全体のネットワークが停止することがあります。
調査では、「影響範囲」「発生時刻」「直前の配線変更」「スイッチのランプ」「Ping結果」の順に確認します。
ネットワークループが疑われる場合は、端末設定を変更するのではなく、早めにネットワーク管理者へエスカレーションすることが重要です。

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