パケットロスとは?原因・確認方法・対処法をIT初心者向けに解説
パケットロスとは、ネットワーク上で送信したデータの一部が相手へ届かず、途中で失われる現象です。
パケットロスが発生すると、Web会議の音声が途切れる、VPNが切断される、オンラインシステムの動作が遅くなるなど、業務へ大きな影響が出ます。
通信速度が十分に見えてもパケットロスが発生している場合があるため、ネットワーク障害の切り分けでは重要な確認項目です。
パケットロスとは?
ネットワーク通信では、データを「パケット」と呼ばれる小さな単位に分割して送信します。
例えば、大きなファイルを送信するときも、1つのデータをそのまま送るのではなく、複数のパケットに分割して相手へ届けます。
このパケットの一部が、通信経路の途中で破棄されたり届かなかったりする状態がパケットロスです。
パケットロスが発生するとどうなる?
パケットロスが発生したときの影響は、利用しているサービスによって異なります。
| 利用場面 | 主な症状 |
|---|---|
| Web会議 | 音声や映像が途切れる |
| VPN | 接続が不安定になる、切断される |
| リモートデスクトップ | 画面が固まる、操作が遅れる |
| ファイル転送 | 転送速度が遅くなる、失敗する |
| 社内システム | タイムアウトや再ログインが発生する |
| IP電話 | 音声が欠ける、会話が聞き取りにくい |
パケットロスが重要な理由
パケットロスが発生すると、失われたデータを再送する必要があります。そのため、通信速度の低下や応答遅延につながります。
特にWeb会議やIP電話など、リアルタイム性が必要な通信では、失われたデータを再送する時間がありません。その結果、音声や映像が途切れます。
業務システムでは、通信タイムアウトやセッション切断の原因になることもあります。
初心者が混乱しやすいポイント
通信速度が速くてもパケットロスは発生する
回線速度が500Mbpsと表示されていても、パケットロスが発生していれば通信は不安定になります。
速度と安定性は別の確認項目です。
Pingの応答が遅いこととパケットロスは異なる
Pingの応答時間が長い状態は遅延です。送信したPingに応答が返らない状態がパケットロスです。
1回だけPingが失敗しても障害とは限らない
サーバーやネットワーク機器がPingを制限している場合もあります。継続的な結果や、ほかの通信先の結果と比較して判断することが重要です。
パケットロスが発生する主な原因
| 原因 | 具体例 | 主な確認対象 |
|---|---|---|
| LANケーブルの不良 | 断線、接触不良、規格不一致 | 端末、ケーブル |
| Wi-Fiの電波不良 | 電波が弱い、電波干渉 | 端末、アクセスポイント |
| ネットワーク機器の高負荷 | ルーターやスイッチの処理能力不足 | ネットワーク側 |
| 回線の混雑 | 利用者集中、帯域不足 | インターネット回線 |
| ネットワークアダプター異常 | ドライバー不具合、省電力設定 | Windows側 |
| ポート不良 | スイッチポートやLANポートの故障 | ネットワーク機器 |
| VPNの不安定 | 回線品質低下、VPN装置の負荷 | VPN経路 |
| サーバー側の高負荷 | 処理遅延、応答停止 | 接続先サーバー |
まず確認する順番
- 自分だけか、複数人で発生しているか確認する
- 有線LANかWi-Fiか確認する
- LANケーブルやWi-Fiの電波状態を確認する
- デフォルトゲートウェイへPingを実行する
- 社内サーバーやインターネットへPingを実行する
- 通信経路を確認する
- ネットワーク機器や回線の状態を確認する
近い通信先から遠い通信先へ順番に確認すると、パケットロスが発生している場所を絞り込みやすくなります。
コマンドプロンプトで確認する方法
Pingでパケットロスを確認する
Windows + Rを押し、「cmd」と入力してコマンドプロンプトを開きます。
まず、デフォルトゲートウェイを確認します。
ipconfig
表示されたデフォルトゲートウェイへ、継続的にPingを実行します。
ping 192.168.1.1 -t
停止するときはCtrl + Cを押します。
停止後に、送信数、受信数、損失数、損失率が表示されます。
確認結果の見方
| 結果 | 考えられる状態 |
|---|---|
| 損失0% | 確認中はパケットロスなし |
| 数回だけタイムアウト | 一時的な混雑や通信不安定の可能性 |
| 継続的に損失 | ケーブル、Wi-Fi、機器、回線障害の可能性 |
| ゲートウェイで損失 | 端末から社内ネットワーク機器までに問題がある可能性 |
| 外部通信先だけ損失 | 回線、ルーター、通信事業者側の可能性 |
インターネット側を確認する
デフォルトゲートウェイへのPingが正常なら、外部IPアドレスへ実行します。
ping 8.8.8.8 -t
ゲートウェイは正常でも外部IPアドレスで損失する場合は、ルーターより先の回線や通信事業者側に原因がある可能性があります。
通信経路を確認する方法
tracertコマンドを使うと、通信先までに通過するルーターを確認できます。
tracert 8.8.8.8
特定の区間から応答が遅くなる場合は、その周辺で混雑や障害が発生している可能性があります。
ただし、途中のルーターが応答を返さない設定になっている場合もあります。アスタリスクが表示されたという理由だけで、その機器が故障しているとは判断できません。
PowerShellで確認する方法
PowerShellでは、次のコマンドで通信確認ができます。
Test-Connection 192.168.1.1 -Count 20
特定ポートへの接続確認には、次のコマンドを使用します。
Test-NetConnection サーバー名 -Port 443
Pingが禁止されているサーバーでも、利用しているTCPポートへの接続可否を確認できる場合があります。
GUIで確認する方法
- Windowsの「設定」を開く
- 「ネットワークとインターネット」を開く
- 「Wi-Fi」または「Ethernet」を選択する
- 接続状態、リンク速度、IPアドレスを確認する
- 「ネットワークの詳細設定」からアダプターの状態を確認する
Wi-Fiの場合は、電波強度が弱くないかも確認してください。
有線LANで発生する場合の確認方法
- LANケーブルが奥まで差し込まれているか確認する
- LANポートのリンクランプを確認する
- 別のLANケーブルへ交換する
- 別のLANポートへ接続する
- Wi-Fiを一時的に無効にして有線LANだけで確認する
Wi-Fiと有線LANを同時に有効にしたままでは、どちらの経路で通信しているか分かりにくくなるため注意が必要です。
Wi-Fiで発生する場合の確認方法
- アクセスポイントとの距離を確認する
- 電波強度を確認する
- 別の場所へ移動して再確認する
- ほかの端末でも同じ症状が出るか確認する
- 有線LANへ切り替えて比較する
電子レンジ、Bluetooth機器、周辺のWi-Fiなどによる電波干渉が原因になる場合もあります。
イベントビューアーで確認する方法
Windows + Xを押し、「イベントビューアー」を開きます。
主に次の場所を確認します。
- Windowsログ
- システム
通信断が発生した時刻の前後で、ネットワークアダプター、TCP/IP、DHCP Client、無線LAN関連の警告やエラーがないか確認してください。
イベントの発生時刻、ソース、イベントID、メッセージ内容を記録しておくと、上司やネットワーク担当者へ報告しやすくなります。
具体的な解決手順
LANケーブルを交換する
有線LANの場合は、設定変更より先にLANケーブルを交換します。見た目に異常がなくても、内部で断線していることがあります。
別のLANポートを使用する
スイッチや壁面LANポートの不良が疑われる場合は、管理者の許可を得て別ポートへ接続します。
Wi-Fiの接続場所を変更する
アクセスポイントへ近づき、電波の弱い場所や障害物の多い場所を避けます。
ネットワークアダプターを確認する
Windows + Xから「デバイスマネージャー」を開き、「ネットワークアダプター」に警告マークがないか確認します。
ドライバー更新や再インストールは、社内の運用ルールに従って実施してください。
省電力設定を確認する
ノートパソコンでは、省電力機能がネットワークアダプターを停止し、通信が途切れる場合があります。
デバイスマネージャーで対象アダプターのプロパティを開き、「電源の管理」を確認します。
設定変更は端末管理ルールや管理者の指示を確認してから行ってください。
影響範囲の切り分け
| 影響範囲 | 疑われる原因 |
|---|---|
| 自分の端末だけ | ケーブル、Wi-Fi、ドライバー、端末設定 |
| 同じフロアの複数人 | スイッチ、アクセスポイント、配線 |
| Wi-Fi利用者だけ | アクセスポイント、電波干渉、無線LAN側 |
| 有線LAN利用者だけ | スイッチ、LANケーブル、ポート |
| 特定システムだけ | サーバー、アプリケーション、通信経路 |
| 全社または拠点全体 | ルーター、回線、基幹ネットワーク |
現場で実際によくある事例
Web会議の音声が数分おきに途切れるという問い合わせを受けたことがあります。回線速度を測ると十分な速度が出ていたため、最初は原因が分かりませんでした。
デフォルトゲートウェイへ継続的にPingを実行したところ、一定間隔でタイムアウトが発生していました。有線LANへ切り替えると損失がなくなったため、Wi-Fiの電波干渉が原因だと判明しました。
この経験から、通信速度だけではなく、パケットロスと遅延も確認する必要があると実感しました。
初心者がやりがちなミス
- 回線速度だけを確認して問題なしと判断する
- 1回のPing結果だけで結論を出す
- 通信断が発生した時刻を記録しない
- 有線LANとWi-Fiを同時に有効にしたまま調査する
- いきなりネットワーク機器を再起動する
- ほかの利用者への影響を確認しない
上司へ報告するポイント
- 発生日時と継続時間
- 発生頻度
- 利用端末名と利用場所
- 有線LANかWi-Fiか
- 影響を受けたサービス
- 他の利用者にも発生しているか
- Pingの送信数、損失数、損失率
- 確認した通信先
- 実施した対処と結果
「通信が不安定です」だけではなく、「10分間で200回送信し、8回タイムアウトした」のように数値で報告すると、状況が伝わりやすくなります。
エスカレーションするタイミング
- 複数の利用者でパケットロスが発生している
- デフォルトゲートウェイへの通信で継続的に損失する
- スイッチやルーターの障害が疑われる
- 回線事業者側の障害が疑われる
- 業務システムやWeb会議へ大きな影響が出ている
- ネットワーク機器の設定変更が必要になる
注意点
ルーター、スイッチ、アクセスポイントを自己判断で再起動すると、ほかの利用者の通信も切断される可能性があります。
ネットワーク機器の再起動、ポート設定変更、VLAN変更、ドライバー削除などは、必ず管理者の許可を得て実施してください。
応用知識
TCPとUDPで影響が異なる
TCP(Transmission Control Protocol)は、失われたパケットを再送する仕組みがあります。そのため、ファイル転送ではデータ欠損を防げますが、再送によって速度が低下します。
UDP(User Datagram Protocol)は、基本的に再送を行いません。Web会議や音声通信では、パケットロスがそのまま音声や映像の途切れとして現れやすくなります。
パケットロス率だけで判断しない
パケットロス率が低くても、連続してパケットが失われるとWeb会議やVPNへ大きな影響が出ます。
損失率だけでなく、発生時間、連続性、遅延、利用サービスも合わせて確認することが重要です。
関連するIT用語
- パケット
- Ping
- 遅延
- 帯域幅
- TCP(Transmission Control Protocol)
- UDP(User Datagram Protocol)
- デフォルトゲートウェイ
- ルーター
- ネットワークスイッチ
- アクセスポイント
よくある質問(FAQ)
Q. パケットロスは何%まで正常ですか?
社内LANなど安定した環境では、基本的に0%が望ましい状態です。用途や通信先によって影響は異なりますが、継続的に損失が発生する場合は調査が必要です。
Q. Pingでタイムアウトしたらパケットロスですか?
送信したPingに応答が返らなければ、Ping上では損失として計測されます。ただし、通信先がPingへの応答を制限している可能性もあります。
Q. Wi-Fiではパケットロスが発生しやすいですか?
有線LANと比べると、電波干渉、距離、障害物、利用者数の影響を受けやすいため、発生する可能性は高くなります。
Q. パケットロスと通信断の違いは何ですか?
パケットロスは一部のデータが失われる状態です。通信断は通信そのものが一時的または継続的に切れる状態を指します。パケットロスが悪化すると、通信断のような症状になることがあります。
Q. 再起動すれば解決しますか?
一時的なアダプター異常なら改善する場合があります。ただし、ケーブル不良や回線混雑、ネットワーク機器の障害は再起動だけでは根本解決しません。
まとめ
パケットロスとは、送信したデータの一部が通信経路の途中で失われる現象です。
調査するときは、「影響範囲の確認」「有線LAN・Wi-Fiの確認」「デフォルトゲートウェイへのPing」「外部通信先へのPing」「ネットワーク機器や回線の確認」という順番で切り分けます。
IT現場では、通信速度だけで問題なしと判断せず、Pingの損失率や発生時刻を記録することが重要です。客観的な結果を残して報告すれば、ネットワーク担当者へのエスカレーションもスムーズになります。

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