tracert(Traceroute)の使い方|ネットワーク経路を確認して障害を切り分ける方法
tracert(Traceroute)は、通信先までどのような経路を通っているのかを確認するコマンドです。pingでは「通信できるか」しか分かりませんが、tracertを使うとどのネットワーク機器まで通信できているかを確認できるため、ネットワーク障害の切り分けに役立ちます。
tracertとは
tracert(Traceroute)は、パケットが目的のサーバーへ到達するまでに通過するルーター(ホップ)を順番に表示するWindows標準のコマンドです。
Linuxでは「traceroute」、Cisco機器では「traceroute」というコマンド名で利用されます。
どんな場面で使われるのか
- 特定のWebサイトへ接続できない
- VPN接続が途中で失敗する
- 通信速度が遅い
- どこで通信が止まっているか調べたい
- ネットワーク障害の切り分けを行う
基本的な使い方
コマンドプロンプトまたはPowerShellを開き、次のように入力します。
tracert www.microsoft.com
IPアドレスを指定することもできます。
tracert 8.8.8.8
実行結果の見方
実行すると、目的のサーバーまでの経路が表示されます。
| 表示項目 | 内容 |
|---|---|
| ホップ番号 | 通過したルーターの順番 |
| 応答時間 | 各ルーターまでの通信時間 |
| IPアドレス・ホスト名 | 経由したネットワーク機器 |
例えば、ホップ1は通常、自社や自宅のデフォルトゲートウェイ(ルーター)です。その後、ISP(インターネットサービスプロバイダー)のネットワークを経由し、最終的に目的のサーバーへ到達します。
確認するポイント
① 最後まで到達しているか
目的のサーバーまで表示されれば、その経路では通信できている可能性が高いと判断できます。
② どこで通信が止まるか
途中で応答が途切れた場合、その付近で障害が発生している可能性があります。
| 停止した場所 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 1ホップ目 | PCやデフォルトゲートウェイの問題 |
| 2~3ホップ目 | 社内ネットワークやルーターの問題 |
| 途中のISP | 通信事業者側の障害 |
| 最終ホップ付近 | 相手サーバーや相手ネットワークの問題 |
③ 応答時間が急に長くなっていないか
あるホップから急に応答時間が大きく増えた場合、その区間で回線の混雑や高負荷が発生している可能性があります。
「*」が表示された場合の意味
tracertの結果で「*」が表示されることがあります。
これは必ずしも障害を意味するわけではありません。
主な原因は次のとおりです。
- ルーターがICMP応答を返さない設定になっている
- Firewallで応答を拒否している
- 一時的な通信遅延
- TTL超過メッセージを返さない機器
途中で「*」が表示されても最終ホップまで到達していれば、通信自体は正常な場合があります。
pingとの違い
| 項目 | ping | tracert |
|---|---|---|
| 確認内容 | 通信できるか | 通信経路 |
| 障害箇所の特定 | 苦手 | 得意 |
| 応答時間 | 確認できる | 各ホップごとに確認できる |
| 経由ルーター | 表示されない | 表示される |
障害対応での活用例
利用者から「社外のWebサイトだけ表示できない」と問い合わせがあった場合の確認例です。
- ipconfigでIPアドレスを確認する
- pingでデフォルトゲートウェイへ疎通確認する
- pingで8.8.8.8へ疎通確認する
- pingでホスト名への名前解決を確認する
- tracertで通信経路を確認する
例えば、5ホップ目までは正常に応答しているものの、その先で応答が途切れる場合は、社内ネットワークではなくISPや相手側ネットワークに原因がある可能性があります。
PowerShellでも利用できる
PowerShellでも同じように実行できます。
tracert www.microsoft.com
また、PowerShellには経路確認と疎通確認を組み合わせたコマンドもあります。
Test-NetConnection www.microsoft.com -TraceRoute
PowerShellを利用する環境では、こちらを使用することもあります。
初心者がやりがちなミス
- 途中で「*」が表示されただけで障害と判断する
- pingを実行せずにtracertだけ確認する
- 通信先のホスト名だけで確認し、IPアドレスでは確認しない
- 応答時間の変化を確認しない
- tracertの結果だけで原因を断定する
上司へ報告するポイント
- どの宛先に対してtracertを実行したか
- 何ホップ目まで正常だったか
- どこから応答がなくなったか
- pingでは通信できるか
- DNSによる名前解決は正常か
「通信できませんでした」と報告するのではなく、「tracertでは4ホップ目までは正常に応答していますが、5ホップ目以降で応答がありません」と伝えると、障害箇所の特定がしやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. tracertとpingはどちらを先に使いますか?
通常はpingで通信できるかを確認し、通信できない場合や経路を詳しく調べたい場合にtracertを実行します。
Q. 途中のホップが「*」でも問題ありませんか?
最終ホップまで到達していれば、多くの場合は問題ありません。途中のルーターがICMPに応答しない設定になっていることがあります。
Q. tracertで原因を特定できますか?
tracertは通信経路を確認するためのコマンドであり、原因を断定するものではありません。pingやnslookup、イベントビューアーなどの結果と組み合わせて切り分けを行うことが重要です。
まとめ
tracertは、目的のサーバーまでの通信経路を確認し、どの地点まで通信できているかを把握するためのコマンドです。
ネットワーク障害では、まずpingで疎通を確認し、原因の切り分けが必要な場合にtracertを利用するのが基本です。結果を見る際は、「どこまで到達しているか」「どこで応答が途切れるか」「応答時間に大きな変化がないか」の3点を確認すると、効率よく障害箇所を絞り込めます。

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